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グリーン交響楽団 第18回定期演奏会

颯爽としてカッコ良く、息づいたチャイコフスキー戻る


グリーン交響楽団 第18回定期演奏会
2006年11月25日(土) 16:00  吹田メイシアター大ホール

ブラームス: ハイドンの主題による変奏曲op56
シベリウス: 交響曲第5番変ホ長調
チャイコフスキー: 交響曲第1番ト短調「冬の日の幻想」

(アンコール)ブラームス: ハンガリー舞曲第6番

指揮: 高谷光信


高谷光信さんの指揮によるチャイコフスキーの交響曲第1番、
颯爽としてカッコ良いのはいつもどおりですが、息づいた音楽に心踊らされました。

グリーン交響楽団、毎年聴かせてもらっていますが、統率のとれた巧いオケといった感じを今回も受けました。
冒頭のブラームスのハイドン・ヴァリエーション、柔らかな響きを基調にし、ホルンの斉奏も素晴らしかったですね。 高谷さん、丁寧に振り分け、テキパキと曲を進めてしっかりと纏めあげました。
続くシベリウスの交響曲第5番、この演奏もまた熱くもありましたが基本的にはすっきりと美しく纏めた演奏ではなかったでしょうか。 緻密なアンサンブルは最後まで崩れることなく、響きの美しさ、纏まり感の見事な演奏でした。
さて、これら2曲に比するとメインのチャイコフスキーは更に一味違っていたようです。
さっそうと進めた第1楽章、美しい第2楽章、伸びやかでカッコ良い演奏とした第3楽章、そしてメリハリを利かせて熱く歌いあげた終楽章。 どこをとっても素晴らしい演奏が展開され、さすがロシアで勉強された高谷さん、と唸らされました。
実はこの曲、好きなんですね。 だから、聴いていて嬉しくなったこともありますが、若々しく、しかもとてもカッコよく纏められていて、聴いていてワクワクとする演奏に、このところも疲れも吹っ飛びました。 ありがとうございました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

当日もまた休日出勤していました。 11月になってもまだドタバタやっていて、いいかげん疲れているし、風邪気味ではあるのですが・・・たまには音楽も処方しないとやってられません。 昼すぎに職場を抜け出し、吹田のメイシアターに足を運びました。

いつもどおり2階席の通路後ろ、足元の広い席(そ-3)に陣取りました。 1階席は8割ほど入っていたかしら。 2階のこのあたりはまだ余裕です。 まずはパンフレットやチラシなど見ながらゆったりと休みます。

開演5分前、パート毎の整列入場かと思ったら、自由入場みたいな感じですね。 メンバーの方がどんどんと集まってきて練習を開始。 オケの弦楽編成は、通常配置で 14-9-8-8-7 かしら。 最後にコンマスの方が入場されて静まります。 チューニングを実施して準備完了。
指揮者の高谷さんが左手を挙げながら登場し、オケ・メンバーを立たせたあと、中央に立って一礼し、始まります。

ブラームスのハイドン・ヴァリエーション。 柔らかな響きを基調にしてホルンの斉奏も素晴らしかったですね。 高谷さん、丁寧に振り分け、テキパキと曲を進めてしっかりと纏めあげました。

指揮棒を持たずにさっと振って聖アントニーのテーマが流れます。 低弦のピチカートが心地よく届いてきます。 オーボエが凛としていていいですね。 金管楽器も輝きを感じさせますが、ぐっと抑えた表情。 調和の取れた響きがとてもよかったですね。
第1変奏、ふわっと浮くような柔らかな響きが拡がってゆきます。 ティムパニが重い音なのに軽く打ってました。
第2変奏、下から突き上げるような指揮で、ヴァイオリンから引き締まった響きを導き出します。 が、これをすっと開放したかと思うと、またぎゅっと引き締めてカッコ良い演奏です。
第3変奏、恰幅の良い音楽ながらも、ここもすっきりと締めました。 ホルンの響きがタイトでした。
第4変奏、低弦を向いて振り始めましたが、顔は木管を見ながら目で指揮。 音をゆったりと繋いでゆく感じでした。 レガート奏法かしら。
第5変奏、軽やかに弾むようですが、柔らかく明るい響きが印象的でしたね。
第6変奏、ホルンの斉奏が柔らかく響いてきて素適です。 木管楽器も綺麗にこれに呼応してました。 弾けるように弦楽器とティムパニが入ってきて、でも、ここもしっかりと抑えが効いてます。 とても丁寧な音楽造りといった感じ。 しっかりとよく纏まっていました。 巧いオケですね。
第7変奏、柔らかく吹くフルートの響きなのにが、音が最高峰までよく透ってきます。 弦楽アンサンブルも低弦にしっかりと乗って気持いい。 また、音の出だしをふわっと浮かせるように進める高谷さん、オケもしっとりとして巧くついています。
第8変奏、中低弦の響き、ここも巧く絡めた弦楽アンサンブルに木管がとても綺麗な響きでした。
第9変奏、ゆったりとした開始でしたが爽やかな感じ。 次第に力を増し、高谷さん、丁寧かつカッコよく振り分けてテキパキと曲を進めます。 聖アントニーのコラールをしっとりと歌いあげ、恰幅の良い音楽とするのですが、ここもまた落着いて丁寧に振って盛り上げます。 そして最後は右手をぐるっと回した着地。 しっかりと終わった、そんな感じでしたね。
途中ちょっと単調に進むような感じを受けた部分もありましたけれど、終始柔らかな響き、とても綺麗な音楽でした。

管楽器メンバーの入れ替えを行い、ティムパニは女性奏者の方になりました。

シベリウスの交響曲第5番、この演奏は熱くもありましたが、基本的にはすっきりと美しく纏めた演奏ではなかったでしょうか。 緻密なアンサンブルは最後まで崩れることなく、響きの美しさ、纏まり感の見事な演奏でした。

第1楽章、雄大かつ甘い響きのするホルン、いい滑り出しでした。 ティムパニもそっと打ち、オーボエやフルートも透明感があって素適です。 弦楽器が入って深遠さを感じさせますが、力強い金管が割り込み、すっと退く。 そして解決されないピークを何度か登ります。 トランペットがアクセントになり、その都度輝かしい響きをぐっと溜め込んで進めます。 十分に開放させない、それがシベリウス流。 このあと軽やかな音楽として流れ始めますが、このあたり、個人的にはもうちょっと粘って欲しい感じもしました。 とにかくスッキリとした音楽の流れで進みます。 また後半のリズミカルな部分も、さらさらっと流してゆく感じだったでしょうか。 でも最後は緊張感を増し、渋い響きのトランペット、張りのあるティムパニ、エンディングは高谷さんが指揮棒を刀のように袈裟懸けにして曲を切り落としました。

第2楽章、指揮棒を置き、ふわっと振って始めます。 締まったホルンの響き、ヴィオラによるピチカートが素適です。 フルートを始めとする木管も曲を彩りながら進めてゆきます。 いずれも響きの当たりが柔らかく、軽やかに進め、牧歌的な感じもします。 透明感の高い弦楽器のピチカートも美しく、歌い上げてゆきました。 締まった金管楽器の響きさえも、美しさが基調ですなのね。 オーボエの裏で吹くクラリネットもまた柔らかな響き、そして最後はすっ〜と潮が退くようにして終わりました。

第3楽章、高谷さんが下からすくい上げるようにしてティムパニの打音を導き出します。 この後はしっかりと拍をとり、ヴィオラに歌わせます。 このヴィオラ、とても落着いたいい音色でした。 そしてホルンの斉奏もまた落着いた響き。 とにかく丁寧に音を緻密に練りあげてゆくような感じです。 腰を据え、きちんと曲を進めてゆく感じかな。 少々カクカクって音型が動くような感じもして、個人的にはもうちょっと粘って欲しいな、なんて思いましたけど、美しい音楽には違いありません。 集中力を更に増し、重いティムパニの響きでピークを形成。 高い集中力を維持したままエンディングに突入。 残念ながら1音目のあとに拍手が入りましたが、でも集中力は切れず、後の5つの音も決めて全曲を閉じました。

実はこの曲、充分に解決しないクライマックスなど、どこかスッキリしない感じもぬぐえなくって、あまり得意な分野ではないのですが(それがシベリウスらしいといえばそうなのでしょうけど)、この難しい曲を美しいアンサンブルで見事に最後まで聴かせてもらいました。 熱い拍手を贈りました。

20分間の休憩。 席でじっとして開演を待ちます。 開演の5分くらい前でしょうか、メンバーの方が出てこられて練習を開始します。 威勢の良い響きがホールにこだましていましたが、コンマスの方が立つと、すっーとそれが止んでチューニングの開始。

先ほどのシベリウスの交響曲第5番はどちらかと言うと苦手に入る部類の曲なのですが、これからかかるメインのチャイコフスキーの交響曲第1番は、好きな部類の曲です。 この曲を聴きに来た、といっても過言ではありません。 期待が膨らみます。 にこやかに高谷さんが登場されて、いよいよ始まります。

「冬の日の幻想」と題された交響曲第1番、さすがロシアで勉強された高谷さん、と唸らされた演奏でした。 これまでの演奏とは一味違っていましたね。 さっそうと進めた第1楽章、美しい第2楽章、伸びやかでカッコ良い演奏とした第3楽章、そしてメリハリを利かせて熱く歌いあげた終楽章。 どこをとっても締まったアンサンブルが息づいていて、とても素晴らしい演奏でした。 しかも、とてもカッコよく纏められていたので、聴いていてワクワクしっぱなしでした。

第1楽章、弦のトレモロからフルートとファゴットによる柔らかな旋律による開始。 この旋律が艶っぽいヴィオラに引き継がれて、さらに引き継がれていっていい感じ。 低弦がズン・ズン・・と響いてくるのが心地よく、音楽がまさしく息づいていますね。 タイトな金管、エネルギッシュですが、切れ味は爽やか。 メリハリのある音楽にワクワクしてきました。 ホルンの斉奏は、ここでもちょいと甘く柔らかに響かせ、素適でした。 演奏全体がしなやかで艶があり、チャイコフスキーらしさを十分に出てますけれど、まだ若い指揮者の高谷さん、これらをスッキリと巧く纏め、ベタベタと感じさせないのが嬉しいところ。 コーダとなり、冒頭の再現で弾みを付けたあと、そっと着地したあたりもまた見事でした。

第2楽章、子守唄風の導入部、艶やかな弦楽アンサンブルが素適に響きます。 このあとの凛としたフルート、そしてオーボエによる旋律、そしてまたこの裏で吹くファゴットも素適でそした。 耳が洗われました。 気付いたら高谷さん、指揮棒を置いて手で指揮されてました。 テンポをちょっと上げ、今度はヴィオラ、中音弦が豊かに鳴っているのも素晴らしい。 チェロがのびのびと弾いていたのも気持ち良かったですね。 ホルン、本当にホルンが大活躍なんですが、ここでも甘く円やかな音色でとてもロマンティック。 力を増しても円やかさが崩れない巧さもありました。 そして冒頭の主題が現れ、霧が晴れるような爽やかなフルートでこの楽章を閉じました。

第3楽章、軽やかな木管楽器による導入、そして透明感の高いヴァイオリンによる旋律が、次々に楽器に受け渡されてゆきます。 きちっとコントロールされた音楽が展開されていて素晴らしい。 しかし、これをさっと翻し、中間部のワルツ。 カッコ良い転換でした。 ここでも中低弦の響きにのせて緩やかに歌って見事でした。 のびやかで美しく、バレエ音楽みたいですねぇ。 そして主題を戻したあと、ティムパニの打音も軽やかにカッコ良く決め、最後は力強くタイトに締めました。

ここでチューニングを実施してから第4楽章、ファゴットの哀愁を込めた響きによる開始です。 ヴァイオリンもこの旋律をゆったりと弾いて進めます。 低弦もしっかりとして見事ですね。 徐々にテンポを上げ、勇ましい主題。 ここではタイトな金管がカッコ良く吹き、オケ全体もまた締まったアンサンブルで進めます。 突き上げるようなトランペットのフレーズ、でも響きに艶があって綺麗な音が届きます。 素晴らしい。 このあとはノリノリって感じだったでしょうか、コントラバスによる旋律もまたカッコ良かったなぁ。 再び冒頭の音楽に戻り、しだいにテンポを上げてゆくところの高揚感。 また全奏となっても余裕を感じさせた演奏。 ティムパニが小気味よく打っていたのもまたいい感じでした。 決して暴走せず、でも高らかに歌いあげたフィナーレを熱く形成して、全曲を閉じました。

若くて颯爽とした指揮者によるカッコ良い音楽でしたね。 さすがロシアで勉強された高谷さん、と唸らされました。 オケもまた見事な演奏を展開していました。 特にこの曲では、内から湧き上がってくるような感じがあり、これは前2曲とはちょっと違っているように感じました。
とにかく聴いてワクワクとする演奏に、このところも疲れも吹っ飛びました。 皆さんお疲れさまでした。 そしてありがとうございました。