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関西大学交響楽団 第58回定期演奏会

熱くてしなやかなチャイコフスキー戻る


関西大学交響楽団 第58回定期演奏会
2006年12月15日(金) 19:00  吹田市文化会館メイシアター・大ホール

ブラームス: 大学祝典序曲op.80 (*)
チャイコフスキー: 幻想序曲「ロメオとジュリエット」 (**)
チャイコフスキー: 交響曲第5番ホ短調op.64

指揮:竹本泰蔵、大塚佑馬(*:学生)、松本裕太(**:学生)


チャイコフスキーの交響曲第5番、熱くてしなやかな素晴らしい演奏でした。

竹本泰蔵さんの指揮のもと、響きの角を綺麗に落として艶のある弦楽器、抑制の効いた管楽器、弾力ある打楽器が一体となった音楽はロマンの香りが漂っていました。
第2楽章でのホルンのソロ。 女性奏者による耳当たりの柔らかな響きがきりっと引き締まっていました。 またこれに絡む、やはり女性奏者によるクラリネットも柔らかな音色でしっとりとからんでいて、とても素敵でした。 じつにしなやかで、この演奏の特徴をよく象徴していたと思います。

でもこの演奏全体の主役は弦楽器でしょう。 深く弾力のある中低弦、艶っぽくて伸びのある高音弦が見事でした。 そしてクライマックスでの熱い行進曲もしなやかでかつ艶っぽい響きが渦巻いていました。 全曲を纏めあげたあと、会場から物凄く熱い拍手が沸き起ってホール内に響き渡った素晴らしい演奏でした。 感動しました。

またこれに先立って演奏された学生副指揮者松本裕太さんによる同じくチャイコフスキーの「ロメオとジュリエット」。 この演奏もまたしなやかさと強靭さを併せ持った見事な演奏でした。 クラリネットとファゴットによる深い響きによる開始から、芯のあるしなやかなフィナーレまで、学生指揮者とは思えないほどの余裕をも感じさせる堂々とした演奏に聞き惚れました。

そして冒頭は正指揮者大塚佑馬さんによるブラームスの「大学祝典序曲」。 響きがスマートに引き締まっていて意思のよく通った演奏。 膝を使って軽快に進め、軽くジャンプしながら力を込めてゆく熱く雄大なフィナーレ。 その終結部の熱く響く和音が実に素晴らしいエンディングでした。

会場は2階席でも立ち見も出るほどの超満員。 いつもながら学生オケらしい熱気溢れる演奏会でした。 卒業される4回生の方にとっても良い思い出になったのではないでしょうか。 いい演奏会でした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

金曜日、平日夜の演奏会は予定はどう転ぶか分からないのですが、この日は運良く発注元が忘年会。 皆さん定時すぎにバスに乗って亀岡だかどっかに行ってしまったので、当方はそそくさと退社。 演奏会場へと向いました。

会場の受付で頂いたパンフレット、コーティングされた厚い紙の表紙が立派です。 しかもエビ茶色がベースで金色の文字とバラの花一輪。 思わずチョコレートをイメージさせますね。 そんな軽い驚きを覚えながら、パンフレットを持っていつもの2階席へ。 そ-30、中央通路後ろの足元の広い席に落着きます。 ガラガラだった2階席も、どんどんと人が入ってきてほぼ満員。 若者の熱気が満ちています。

定刻、整列入場となります。 弦楽器の編成は 12-12-10-10-8 の通常配置。 照明が落ちてコンマスが登場してチューニングを実施、準備完了です。 暫くすると、鮮やかな金髪の学生指揮者大塚さんが登場。 トレードマークのロン毛を切ったと聞いてましたが、ライオンヘアーの金髪ですか。 ずいぶん以前、奈良女オケでも金髪の女性学生指揮者が登場して驚きましたが、彼女はヘアピース。 こちらは自毛ですね。 学生生活を謳歌してますねぇ。

その大塚佑馬さんによるブラームスの「大学祝典序曲」。 響きがスマートに引き締まっていて意思のよく通った演奏。 膝を使って軽快に進め、軽くジャンプしながら力を込めてゆく熱く雄大なフィナーレ。 その終結部の熱く響く和音が実に素晴らしいエンディングでした。

軽快な開始を柔らかく響かせます。 トランペットとホルンによる学生歌を軽やかに吹奏。 締まった響きをすっーと伸ばすスマートな曲造りですね。 膝をうまく使っています。 抑揚をつけた弦による学生歌のあと、これまた軽快なファゴットによる学生歌、さらに凛としたオーボエへと繋いでゆきます。 力がこもってきますが、このあたり少々纏まりの無さも感じましたけれど、軽くジャンプして更に力を込めて軌道修正。 そして雄大なコーダ、落ち着いた打楽器の響きを基調にしたフィナーレ。 自分のやりたいこと、自分の意思を通した演奏として立派に纏めあげました。 最後の熱く響く和音が特に素晴らしかったですね。

会場内は暗転、全員がいったん退場してからまた全員が揃います。 今度の編成は 12-13-10-10-8 。 コンミスが登場、チューニングを終えて準備完了。 長身でスマートな副指揮者松本裕太さんが登場して、いったん指揮台のあがったものの降りて一礼。 さぁ始まります。

チャイコフスキーの「ロメオとジュリエット」。 しなやかさと強靭さを併せ持った見事な演奏でした。 クラリネットとファゴットによる深い響きによる開始から、芯のあるしなやかなフィナーレまで、学生指揮者とは思えないほどの余裕をも感じさせる堂々とした演奏に聞き惚れました。

クラリネットとファゴットによる深みのある響きでの導入部、そして弦楽器、低弦の響きにはコク、高音弦には艶が感じられます。 いいですね。 そして何より音楽の深い呼吸が感じられるのが素晴らしいですね。 ここから一気に引き込まれました。
落ち着いてタイトな盛り上がり、低弦がよく鳴っています。 ヴァイオリンも力強い響きを出して盛り上がってゆきますが、音楽の構成感がしっかりとしています。 そして畳み掛けても前のめりにならず、常に落着いた響き。 とても見事です。 コールアングレとヴィオラによる第2主題もしなやかに決めました。 低弦ピチカートがまろやかで、ゆったりとした甘い響きで進め、すっと場面転換。 徐々に高みにもっていってシンバルの一撃、引き締まったトランペットによる盛り上がりもまた艶やかさを失いませんね。 とても落着いた指揮ぶりで、見ていても安心感を感じさせます。 打楽器ではティムパニの弾けるような打音にインパクトがありましたし、終結部の心臓の鼓動のようなリズムもよかったですね。 しめやかで美しい木管アンサンブル、艶のある弦楽器、芯のあるしなやかさをもったフィナーレ、最後は長く伸ばして締めくくりました。 素晴らしい演奏でした。

20分間の休憩。 席でじっとしてパンフレットを読んで開演を待ちますが、周りをみたわすと、2階席の入り口付近では立ち見のお客さんもいますね。 超満員。
定刻、整列入場して今度は 13-13-10-10-8 の編成でコンマスが登場してチューニング。 にこやかな表情をたたえた竹本泰蔵さん、全員を立たせてから登壇します。 笑顔で一礼し、いよいよ始まります。

チャイコフスキーの交響曲第5番、熱くてしなやかな素晴らしい演奏でした。
竹本泰蔵さんの指揮のもと、響きの角を綺麗に落として艶のある弦楽器、抑制の効いた管楽器、弾力ある打楽器が一体となった音楽は実にしなやかで、ロマンの香りが漂っていました。
でもこの演奏全体の主役は弦楽器でしょう。 深く弾力のある中低弦、艶っぽくて伸びのある高音弦が見事でした。 そしてクライマックスでの熱い行進曲もしなやかでかつ艶っぽい響きが渦巻いていました。 全曲を纏めあげたあと、会場から物凄く熱い拍手が沸き起ってホール内に響き渡った素晴らしい演奏でした。 感動しました。

第1楽章、ふわっと振ってクラリネットのほの甘く太い旋律が流れます。 中低弦のしなやかな響き、ゆるやかで素晴らしい開始ですね。 整った響きに厚みも感じられます。 ピークをなだらかでかつしなやかな盛り上がり方で越えます。 身体全体を使った弦楽奏者の方がオケの中で波打っています。 気持ちのよく乗った演奏に惹かれました。 竹本さん、いつもながら美しい音楽を嗜好されていらっしゃるようです。 オケにもそれが十分に沁みている感じ。 ティムパニが入って熱く燃えるクライマックス。 ホルンの斉奏がまたしなやかでかつタイトに決めました。 ここのピークも越えてファゴットが主題を再現、弦楽器がザッザッと重い響きが印象的でした。 そして歩むように進めて力強いクライマックス。 しなるように強靭な感じで進めたあと、また歩くように減衰、竹本さんが左手をぐるっと回してオケを止めました。

第2楽章、コントラバスを向いて振ると、これまたしなやかで深い響きですね。 ゆったりとしてますが、とても集中力の高い演奏。 ホルン・ソロは女性奏者で、やわらかな響きながらも芯がビシっと通っています。 からむクラリネットともに、しみじみとさせる音色がとてもよかったですねぇ。 オーボエの可憐な響きで明るくなりますがしっとり感もまた見事。 深いコントラバスの響き、柔らかなチェロとロマン漂う演奏が展開されます。 甘くまろやかな演奏が次第に力を得て頂点へ。 低音金管楽器の落ちついた響きが素適です。 中低弦の潔いピチカートに乗せて第1ヴァイオリンの深い響き、しみじみとさせますが、ここは学生オケの若いエネルギーも感じられました。 そしてまた力強く盛り上がったあと、クラリネットの甘い音色と弦の静かな音色でそっと着地。

第3楽章、暖かなワルツ、艶のあるヴァイオリンの響きがホールに拡がります。 甘くロマンの香り漂う木管の音色、ファゴット、フルート、いずれも美しくとても見事でした。 抑揚をつけて進める竹本さん、しなやかで熱い音楽として、チャコフスキーらしい魅惑的なワルツですね。 響きと響きの隙間を綺麗に埋めているような感じ。 ファゴットが主想旋律を吹いて、しなやかで力強くこの音楽を止めました。

第4楽章、広々とした弦楽器の響き、威厳をも感じさせる雄大な感じで始まりました。 艶やかな弦楽アンサンブル、抑えを効かせた金管でまずは小さな盛り上がり。 丁寧に纏めたあと、中低弦が渦巻くように力を増します。 ゆったりとしなやか、それが更に力強くなってティムパニがクレッシェンド、力がこもりますけれどとてもなだらかな感じの盛り上がり方でした。 オケの力はまだ残っているみたい、余裕を感じます。 対照的に愛らしい経過句でつなぎ、リズムよくオケを乗せてゆく竹本さん。 金管が入ってぐわっと盛り上がる最高潮の偽終始。
そしてしなやかでかつ熱い行進曲、オーケストラ全体がゆったりと波打って艶っぽい響きが渦巻いてますね。 トランペットが軽やかに乗っていい感じです。 ティムパニが両手打ちで弾力をつけた壮大なコーダ、艶っぽくかつ熱い音楽として感動的なフィナーレを形成し、全曲を感動的に纏めあげました。

熱く渦巻いた音楽の終結とともに会場から物凄く熱い拍手もまたホール内に渦巻きました。 いつもながら関大オケらしい熱気溢れる演奏でしたね。 素晴らしい演奏に卒業される4回生の方にとっても良い思い出になったのではないでしょうか。 熱いチャイコフスキー、素晴らしい演奏会でした。