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かぶとやま交響楽団 第35回定期演奏会

素晴らしい時間が流れた気持ちのいい演奏会戻る


かぶとやま交響楽団 第35回定期演奏会
2007年4月22日(日) 14:00  宝塚ベガ・ホール

シューベルト: 交響曲第4番「悲劇的」
ドビュッシー(ヴィッセル編): 小組曲
フォーレ: ペレアスとメリザンド
ラヴェル: クープランの墓

指揮: 中村晃之


シューベルトの交響曲第4番「悲劇的」の素晴らしい演奏に思わず涙しそうになりました。 感激しながら聴いていました。

今回の演奏会のお目当ては、なんたって、このシューベルトの交響曲第4番。
シューベルトの初期の交響曲が大好きで、約2年前の第32回定期演奏会では交響曲第3番を楽しみましたが、今回のほうが遥かに素晴らしい演奏だったように思います。

ホールの響きのせいかもしれませんが、今回も引き締まった響きで、溌剌としているのは一緒なのですが、オーケストラの落着いた音色、弦楽器と管楽器が一体となった響き、しかも響きの角を綺麗に取って艶やかさを醸し出し、これをアマオケと言ってよいのか、と躊躇するような見事な演奏内容に感動しました。

休憩の後はフランス音楽が3題。 ドビュッシー、フォーレ、ラヴェル・・・実は、いずれも苦手なのですが、中村さんのキレの良い明晰な指揮で楽しめました。

ドビュッシー(ヴィッセル編)の「小組曲」、この曲は馴染みがありましたが、明るくはっきりとした楽しい演奏としていましたね。
フォーレの「ペレアスとメリザンド」、オーボエやフルートの美しい響き、深みも勿論あって惹かれました。
そしてラヴェルの「クープランの墓」、気合入ってました。 2曲目の「フォルラーヌ」の6拍子のリズム、よく締まったオケの響きがかえって眠りを誘ったようで、舟をこぐお客もチラホラいたようですが、打点を明確にした分かりやすい演奏に好感が持てました。

あいにくの小雨模様のためか、お客は半分ほどの入りでしたが、まったく気合を緩めることのない中村さんの指揮のもと、オーケストラは常に清新で潔い演奏で応え、素晴らしい時間が流れていました。

蛇足ですが・・・ ドビュッシーで、オケがフワフワっと演奏しているなか、ティムパニ奏者の方だけは、指揮者をチラっと見ては、ハンドルをぐるぐる回して慌しくチューニング。 間合いを図って、打って、またチューニングと、とても忙しそうでした。

このティムパニ、ウィーンフィルと同じ羊皮の楽器だそうですね。 深い響きを醸し出していました。 勿論ホルンは、ウィンナホルンが4本。 こだわり集団「かぶ響」の響きも堪能した演奏会でした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

このところずっと眠りが浅くて慢性睡眠不足なのですが、早朝にウォーキングをし、朝食後に暫く眠ったので体調万全。 小雨がパラパラときているなか、駅までの道を急ぎました。
梅田の乗り換えもスムーズに行ったので、開場時間ちょうどに清荒神に到着。 帰りの切符を先に買ってから、小雨の中、ホールに駆け込みました。

当日券を買って入場。 開場間もない時間なのでガラガラですが、ステージが見やすい右ブロックの通路側 K-19 の席を確保し、パンフレットやチラシを見ながら開場を待ちました。
実はこのホール初めてなのですが、ステージが低く、また客席にも近くて、なかなかアットホームな感じ。 パイプオルガンにステンドグラス、客席は無いけどギャラリーもあって、ちょっと教会っぽい感じもしますね。 固定席で372席というサイズもまたこじんまりとして素敵な感じです。

定刻、ステージの左右よりオケのメンバーの方が出てきました。 基本的に同じパートが連れ立ってぞろぞろっと出てくる感じですが、整列入場のような整然さをあまり感じませんね。 良い雰囲気だと思います。 全員が揃うと、6-5-5-5-3 の対置配置です。 コンマスによるチューニングが念入りに行われ、準備完了となったあと開演を告げるチャイムが鳴り、ちょっと順番違うんじゃないの、と少々驚きました。 ステージも客席もチャイムの響きを聴きおえると、ステージの照明が落ち、中村さんが登場。 なんだが厳かな雰囲気を漂わせてますね。 さぁ、始まります。

シューベルトの交響曲第4番。 約2年前の第32回定期演奏会で交響曲第3番も楽しみましたが、今回のほうが遥かに素晴らしい演奏だったと思います。
ホールの響きのせいかもしれませんが、今回も引き締まった響きで、溌剌としているのは一緒なのですが、オーケストラの落着いた音色、弦楽器と管楽器が一体となった響き、しかも響きの角を綺麗に取って艶やかさを醸し出し、これをアマオケと言ってよいのか、と躊躇するような見事な演奏内容に感動しました。 素晴らしい演奏に思わず涙しそうになりました。

第1楽章、中村さんの素早い動きから、絞り込んだ力強い和音による開始。 続く弦楽器による旋律もぞくぞくっときて、いきなりノックアウト。 弦と管がよく混ざり合い、低弦も芯になっていて、暗いだけでなく覇気と暖かみも感じさせた見事な序奏でした。
艶やかなヴァイオリンの響きによる第1主題も見事でしたが、金管楽器が落ち着いた音色でサポート。 軽やかな響きの中にも意欲を感じさせつつ駆けてゆきます。 そして堂々とした演奏でもあって、またもやノックアウトですね。 色々な演奏をCDで聴いてきましたが、こんな素晴らしい実演を聴けるなんて・・・なんだか涙が出そうでした。 流れに身を任せてひたすら聴いていたら終わってた、そんな感じでした。

第2楽章、柔らかな響きの中にも集中力の高さを感じさせる開始。 でも、お客さんがぞろぞろと入ってきて、こちらもまた集中力を高めて聴き込みました。 オーボエの柔らかな響き、艶やかさもあって素晴らしい音色ですね。 オケはキレ良く、ぐっと力を増したのを、しだいに音量を下げてゆくと、抒情性や伸びやかさも感じさせる演奏とし、清潔な美しさを感じさせます。 素適な時間が流れていました。 中村さん、大きく伸びあがるようにしてまた力を込め、そしてまた美しさを同化させてゆきます。 こんなに素晴らしい演奏を繰り返すオケの演奏に惹かれっぱなしでした。 すっと開放するように、この楽章を終了。

第3楽章、中村さんのハナ息とともに引き締まった響きが出てきました。 堂々とし、落着いた演奏ですが、活き活きとしています。 キレの良いアクセントはもちろんのこと、いずれも響きの角が取れていて、けっして刺激的ではありません。 この響きの柔らかさを特筆したいですね。 トランペットが時々割り込んで彩りを与えますが、これがまるで天使の楽器を思わせる響きでした。 木管アンサンブルも歌い、そして弦楽器もまた歌った掛け合いもまた見事。 そして中村さんのハナ息で主題戻し、歌を忘れないタイトなシンコペーションをかけ、すっとこの楽章も止めました。

第4楽章、ふわっとした響きによって出たのを、集中力を高めながら進めてゆきました。 しかし締めながらも、要所ではしっかりと歌わせてます。 最初のクライマックス、締まった響きとし、重いティムパニの打音が印象的。 中村さんはシャープな動きで、タイトに盛り上げますが、オケには余裕がありますね。 すっと収めると展開部でしょうか、軽やかな弦楽器が駆け、木管も綺麗に絡んで進みます。 そして徐々に高みにもってゆき、またエネルギッシュな演奏として力が漲ります。 でもまた歌を忘れません。 余力が感じられるホント巧いオケですねぇ。 終結部の盛り上がりも、力が入っているのに瑞々しくて伸びやか。 そしてエンディングの荘厳な響きを3度、念を押すように更に気合を込めた中村さんのアクションで全曲を閉じました。

かなり力を込めた熱い終結でしたが、演奏後、ちょっと間合いをとって振り返った中村さんはなんとクールな表情。 これも印象に残りました。

15分間の休憩。 席でじっとして、アンケートを記載して時間を過ごしました。 客席は5〜6割ってところでしょうか。
定刻、メンバーがまたステージに集まってきました。 同じく 6-5-5-5-3 の対置配置。 コンマスによる入念なチューニングのあとチャイムが鳴り、客席の照明が落ちてステージが照明で照らされます。 そして中村さんが登場。 後半プログラムの始まりです。

後半はフランス音楽が3題。 ドビュッシー、フォーレ、ラヴェル・・・実は、いずれも苦手なのですが、中村さんのキレの良い明晰な指揮で楽しめました。

ドビュッシー(ヴィッセル編)の「小組曲」、明るくはっきりとして楽しい演奏でした。 ドビュッシーは苦手なのですけれど、この曲は何度か演奏会で聴いていて馴染みもあります。 中村さんの明晰な指揮、素適なアンサンブルで面白く聴けました。

「小舟にて」、やわらかなハープに、凛として美しいフルートの旋律が魅了します。 弦楽アンサンブルもチャーミングな響きですが、引き締まった演奏として曲を進めます。 シンバルも柔らかく響かせて、とても上品。 木管楽器はどの楽器も美しい響きでしたが、最後はオーボエのだったかな、とても綺麗でした。

「行列」、軽やかで活き活きとしています。 昔のディズニーの映画音楽のような明るさと楽しさじゃないかな、なんて思いながら聴いていたら、中村さんがぐっと力を込め、ここもまたキレよくオケを進めます。 明るくハッキリとした曲の運び。 分り易くて好きですね。 力のこもった終結も楽しみました。

「メヌエット」、チャーミングなオーボエとクラリネットによる開始。 しっとりとした弦楽アンサンブルがまた明晰な感じですね。 ファゴット、コールアングレもオケの全体の響きによくマッチしててよかったな。 そうそう、ヴィオラも深みのある響きが素適でした。 中村さん、流れにのせていた演奏を止めると、耳をそばだてるようにして響きを纏め、柔らかなホルンそしてコールアングレかな、素適なアンサンブルを醸し出して、ふわっとした着地。 素適なメヌエットでした。

「バレエ」、弦楽器の響きが行進曲かしら、どこかルロイ・アンダーソンにも似ているなぁ、なんて思いつつ聴いてました。 ぐいぐいと力がこもってきて、柔らかなホルンの響きが絡みつつ、波に乗ったような感じで進みました。 冒頭の音楽が戻ってきて、タンバリンがタイトに打ち、オケ全体も熱い響きとなり、最後は打ち付けるような強音で終結。
ついつい気合が篭もってしまうのかしら、中村さんらしい熱い演奏を楽しみました。

蛇足ですが・・・オケがフワフワっと演奏しているなか、ティムパニ奏者の方だけは、指揮者をチラっと見ては、ハンドルをぐるぐる回して慌しくチューニング。 間合いを図って、打って、またチューニングと、とても忙しそうなのも(ご本人には失礼ですが)見ていて面白かったですね。 大変なだなぁ〜と。

ホルンが4名体制になり(先は2名体制)、ティムパニ奏者はこれまでの女性から男性に交代。 その他管楽器奏者のシフトもあったようですが、詳細は憶えていません。 チューニングを実施して準備完了となりました。

フォーレの「ペレアスとメリザンド」、オーボエやフルートの美しい響き、深みも勿論ある上品な演奏に惹かれました。 小難しいことを考えずに、素適なオケの楽器の響きを楽しんでいた、そんな感じだったでしょうか。

「前奏曲」、美しい弦楽アンサンブルによる開始。 この響きをそっと止め、また静かで豊かな響きとして歌います。 管楽器も絡めた響きが、押して、引いて、と柔らかさの中にもしっかりとした芯を感じますね。 そして、断続的に吹くホルンの響きが遥かさを演出し、クラリネットのまろやかに響き、弦楽アンサンブルがそっと静かに着地をして終わりました。 暖かさを感じました。 

「糸を紡ぐ女」、オーボエのしっとりとした響きが素適でした。 第1ヴァイオリンが糸車を模してめくりめくように弾き、他の弦楽器はピチカートで添え、伸びやかに廻ります。 ホルンの響きがまろやか。 活き活きとした上品な演奏とし、ふわっとまとめた感じでしょうか。

「シシリエンヌ」、ハープのアルペジオに乗ってフルートが歌います。 フルートの落ちついた音色が素適でした。 小難しいことを考えずに流れ出てくる音楽を楽しめばそれで良し。 ほんとフルートには深み、艶、コクもありました。 柔らかなピチカートとともに消え入るように終わり。

「メリザンドの死」、深い音色のクラリネット、葬送の音楽でしょう。 弦楽アンサンブルにファゴットが巧く絡んで悲しみをより深くし、ゆっくりとした歩みが寂ばく感を漂わせます。 深い悲しみに金管の響きも加わってタイトな音楽となります。 ここのトランペット、深みと艶が素適でした。 悲しみを更に深くさせた弦楽アンサンブルが音量を下げ、ファゴットを絡めて、また集中力の高い音楽を持続。 これをすっと途切れさせるように止めて演奏を終えました。

ティムパニ奏者の方とホルンの2名が退場、トランペットの1名も退場したので残った1名はホルンの位置に移動してきました。 チューニングを行い、準備万端整ったところで中村さんが登場して最後の曲が始まります。

ラヴェルの「クープランの墓」、気合の入ってましたね。 打点を明確にした分かりやすい演奏に好感が持てました。 なお2曲目の「フォルラーヌ」の6拍子のリズム、よく締まったオケの響きが繰り返されて、かえって眠りを誘ったのか、客席では舟をこぐお客もチラホラいたようでした。 ちょっと単調だったかしら。 でもしっかりと纏ったオケの響きはさすがしたね。

「前奏曲」、オーボエとクラリネットのアンサンブルの瑞々しいこと。 弦楽器が軽やかに絡むように入ってきましたね。 音量を上げて明るい響き。 この響きの縦の線を綺麗に揃えて進みますが、木管アンサンブルを始め、各声部ともよくコントロールされ、しかも流れるように絡みあうのだから見事としか言いようありません。 

「フォルラーヌ」、しっとりとした弦楽アンサンブル、木管楽器のチャーミングな響きを散りばめて、要所を決めながら進みます。 8分の6拍子のリズム、ここでも打点を明確にした纏った響きが繰り返されます。 聴き易い感じですね。 でもちょっと単調に感じるのかしら、廻りでは舟を漕ぐお客さんもいたりもしましたが、よく纏った演奏でした。

「メヌエット」、優しい響きのピチカートのリズムに乗せて、オーボエがこれまた美しい響きで旋律を歌います。 心地よい音楽に、寝ている人にとってもホント心地良かったんじゃないか、なんて思うような演奏が続きました。 しだいに力が篭もりますが、それをまたすっと退かせる優雅な弦楽アンサンブル。 管楽器も絡んだ終結部はしっとりと纏めました。

「リゴドン」、中村さんのハナ息で勢い良く飛び出した、そんな感じで、キレよく音楽を進めます。 トランペットのコクのある響き、ホルンの柔らかさの中にも熱気も含んだ響きも絡らんで、機動力を感じさせるオーケストラ演奏が展開。 オーボエのソロで雰囲気が変わり、コールアングレや木管楽器のソロがしっとりと歌ってから、また機動力のあるタイトな演奏になります。 金管もスピード感があり、オケ全体の力をぐっと盛り上げたのを、中村さんが更に力でもって演奏を切り上げた、そんな感じもした覇気のある終結でした。 決まってました。

フランス音楽らしからぬ力の入れ具合だったかもしれませんが、元来フランス音楽は苦手なのでよく分りません。 個人的にはハッキリとした明晰な演奏でよかったですね。 大きな拍手を贈りました。

なお客席からの拍手は鳴り止みませんでしたが、潔くアンコールなしで終了。
まったく気合を緩めることのない中村さんの指揮のもと、オーケストラは常に清新で潔い演奏で応えた、素晴らしい時間が流れた気持ちのいい演奏会でした。