BQクラシックス My Best Quality Classical Music Site 〜 堅苦しいと思われがちなクラシック音楽を、廉価盤レコード(LP)、CD、アマチュアオーケストラ(ブログ「アマオケ大好き、クラシック大好き」)などで気軽に楽しんでいます。
TOP演奏会感想文廉価LPコンサートホールLP廉価CD資料室掲示板
アンサンブル・フリー 第8回演奏会

お仕着せじゃない音楽戻る


アンサンブル・フリー 第8回演奏会
2007年5月19日(土) 19:00  尼崎アルカイックホール

シューベルト: 交響曲第1番
ブルックナー: 交響曲第7番

指揮: 浅野亮介


ブルックナーの交響曲第7番、きりっと引き締まってパワフル、とても素晴らしい演奏でした。

個人的には、第2楽章での弦楽アンサンブルの美しさ、これを特筆しておきたいですね。 大きく弓を使って綺麗な音色で歌い込んだ高音弦も見事なら、引き締まった中低音弦の太い響きに乗った安心感。 美しい音楽の響きに身を委ねる、これがブルックナーの醍醐味ですものね。
もちろん金管の咆哮も見事な重量感でしたし、フィナーレのキレの良さ、畳み掛ける迫力も素晴らしく、ブルックナーの響きを堪能しました。

また最初に演奏されたシューベルトの交響曲第1番、ホールの大きさを意識したのか、ちょっと大柄な演奏になっていましたが、とても楽しい演奏でした。 この曲、大好きなので、最初はもっとこじんまりしたホールで小編成で演ったらどうかな、なんて思いましたし、実際に音がダンゴになって飛んでくるような感じでした。 でも終楽章のフィナーレなど、浅野さん、オケに任せて演奏を走らせ、メロディを口ずさんでおられた様子。 好きな音楽を好きなように演っている、そんな感じでしたね。 お仕着せじゃない音楽、そんな気持ち良さを感じた演奏でした。

こんな素晴らしい演奏会、しかも無料なのに、予想どおりと言っては失礼ですが、客席は2〜3割程度かな。 2階席など、子供も含めて20名程だったでしょうか。 もっと小さなホールでも良かったんじゃないかな〜 なんて思いつつ会場に足を運びましたけど、やはりブルックナーを充分に鳴らすにはこの位のホールが必要でしたね。 お客さんは少なかったけれど、アットホームな雰囲気、そして素晴らしい演奏を共有できて、皆で熱い拍手を贈りました。 いい演奏会でした。

蛇足ですが、浅野さんの指揮姿、けっこう様になっていましたね。 前回など見ないようにして聴いた、などと失礼なことも書いてしまいましたが、とても判りやすかったことを付け加えておきたいと思います。

次回、いつ演るのか判りませんが、また楽しみにして待ちます。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

このところ夜の演奏会は苦手なのですが、自宅を出るちょっと前に30分ほど仮眠できたので体調は万全。 勉強道具のテキストを持って出発しました。 たいてい大阪に出る電車の中は寝ているのですが、ちゃんとテキストも読みましたよ。 そして大阪からは阪神電車なのですが、やたら人が多し、ユニフォーム姿もチラホラと・・・甲子園球場の帰り皆さんです。 平和そうな感じなので、勝ったんやろな〜、なんて思いつつ甲子園帰りの人達をを乗せていた折り返し電車に乗って尼崎へ。

尼崎駅、改装したみたいですね。 ホームの階段を降りたら歩道橋下の出口に出てしまって、ちょっと焦りました。 とにかく帰りの切符を買ってホールへと向います。 川のほとりを歩くの何年ぶりかな、って感じ。 おじさんが川の鯉にエサ(パンの耳)をあげていて、気持ち悪いくらい(失礼)沢山の大きな鯉が集まっているのを横目に見たりしてホール到着は開演の25分位前。 入口では綺麗なお姉さんが一人でいて、挨拶をしてくれますが、パンフレットは自分で取るシステム。 省力化されてます(いいですね)。 しかし、予想どおり閑散としてますねぇ。 2階席なんてガラガラやろな、と思っていたとおりで最前列を確保。 3-22〜24の3つの座席を占拠しました。 2階席なんて最終的にも子供も含めて20名ほどしか入ってませんでしたものね。 貸し切り状態でリラックスします。 音楽はリラックスして聴かないと・・でも、こんな自由席の演奏会ばかり行っているので、先日のような指定席の演奏会って苦手になってしまいました。

楽屋からコントラバスを練習する音が盛んに聞こえてきます。 途中、コントラバスの方などステージに出てこられてましたが、皆さん予鈴のブザーが鳴る前に楽屋に下がりました。 しかし予鈴が鳴るまで楽屋よりずっとコントラバスの音が聞こえてきてて練習に余念がないようですね。
さて定刻、金管の方よりメンバーの方が登場し、客席の照明も徐々に落ちてゆきました。 弦楽器の編成は 10-9-9-11-5 の通常配置。 チェロの数が第1ヴァイオリンよりも多いですね。 チェロ奏者用のイスが9個あったので、てっきり9名と思っていたのですが、ヴィオラ席後方のパイプ椅子にも2名が周り込んで座ってました。 とにかくコンマスが登場してチューニングを実施。 準備が完了したら、薄いグレーかしら、サマージャケットかな、ノーネクタイの浅野さんが登場します。 いつもながら両手を後ろで組んで、はにかんだようなお辞儀をしてから始まります。

シューベルトの交響曲第1番、ホールの大きさを意識したのか、ちょっと大柄な演奏になっていましたが、とても楽しい演奏でした。 この曲、大好きなので、最初はもっとこじんまりしたホールで小編成で演ったらどうかな、なんて思いましたし、実際に音がダンゴになって飛んでくるような感じでした。 でも終楽章のフィナーレなど、浅野さん、オケに任せて演奏を走らせ、メロディを口ずさんでおられた様子。 好きな音楽を好きなように演っている、そんな感じでしたね。 お仕着せじゃない音楽、そんな気持ち良さを感じた演奏でした。

第1楽章、さっと振ると、弾力ある響きが良く締まって出てきて、颯爽と進めた序奏です。 主部も覇気を持って進めてゆきます。 でもまず目を引いたのが浅野さんの指揮姿。 前回など見ないようにして聴いた、などと失礼なことを書いたのですが・・・かなり解りやすく振ってらっしゃいますね。 ま、振る、というよりも、踊る、に近い面もありますけれど、この曲、大好きなだけにちょっと懸念していたのですね。 さてシューベルト16歳の音楽、これを楽しそうに演奏されています。 でも音楽がどうも大柄な感じ。 ホールの大きさを意識して音量を上げているのでしょうかね。 中低弦も浮き上がってこないし、全体としても音がややダンゴになって届いているようです。 でも楽しさは充分伝わってきますよ。 前回のようなもっと小さなホールで演奏したら・・・なんて思いつつ聴き進め、高らかに歌い上げたフィナーレはジャンジャンジャ〜ンと軽めの着地。 よかったですね。

第2楽章、管楽器がちょっと唐突な感じもしましたが、テンポを落とした開始。 管楽器はいずれも端正な感じ吹いて絡み、全体としてとてもゆっくりとして、慈しむように進みます。 ただし弦楽器の数が多いためか、やや弦の音量は大きい感じ。 管楽器がいずれも変なクセをつけずにスマートに演奏していることもあり、音量差を感じたりもするのですが、本当に慈しむような演奏で進んでゆくのがいいですねぇ。 最後もふわっと止めました。

第3楽章、チェロのほうをチラッと見て、右手ですくい上げるようにしてリズミカルに始まります。 中低弦がちょっと太めの響きで、軽やかに吹くトランペット、チャーミングな木管を絡め、明るく堂々とした音楽。 中間部では一転してテンポを落としてゆったりと。 ここでも木管がチャーミングに歌ってましたよね。 そしてまたさっと翻して旋律を戻し、力を感じさせる堂々したアンサンブルで、弦と管が綺麗に絡んだ素敵な演奏として終えました。

第4楽章、軽やかに走り出したヴァイオリン、浅野さんが右手ですくってパワーアップ。 強弱をつけ、輝かしいトランペットの響きも聞こえ、うきうきするような楽しい演奏ですね。 指揮されている浅野さんも嬉しそうな感じ。 オケに演奏を任せて時に音楽に身をまかせているようにも見えました。 覇気のある弦楽アンサンブルにニュアンスに富んだ木管アンサンブルが絡んでパワーアップしたフィナーレ。 浅野さん、また音楽に身を任せてオケを走らせて、よく見るとメロディを口ずさんでおられるようです。 ああ、好きな音楽を好きなように演奏されているのだなぁ〜 いいなぁ〜。 演奏者が楽しまないと聞き手にも楽しさは伝わってきませんものね、そんな典型的な演奏じゃないかしら。 最後は右手を大きくぐるっと廻して締めました。
いろいろと思うところはありましたけど、音楽を楽しませていただきました。 楽しかった。

20分間の休憩、アンケートを書き、ちょっとまだ時間があったのでトイレ休憩のためにロビーに出ましたが、小さなお子さんを連れたご家族連れが2組いらして、ともに栄養補給をされている様子。 いいですねぇ。 かつての演奏仲間でしょうか、まだ30歳台前半でしょうか、優しそうなお父さんがワーグナーチューバが・・・などと説明されていて、マニアックな曲なのにアットホームな雰囲気も漂っています。
さて席にもどり、足をぐっと伸ばし(2階席最前列の特権ですね)、手も上げて伸ばして(ずっと後方まで誰もいませんから)リラックス。 開演を待ちます。 予鈴のあと暫くしてメンバーの方が登場。 照明が落ちてゆきます。 今度は 11-8-9-11-8 の編成となりました。 コンマスによるチューニングを終えると、浅野さんの登場。 さあメインが始まります。

ブルックナーの交響曲第7番、きりっと引き締まってパワフル、とても素晴らしい演奏でした。
個人的には、第2楽章での弦楽アンサンブルの美しさ、これを特筆しておきたいですね。 大きく弓を使って綺麗な音色で歌い込んだ高音弦も見事なら、引き締まった中低音弦の太い響きに乗った安心感。 美しい音楽の響きに身を委ねる、これがブルックナーの醍醐味ですものね。
もちろん金管の咆哮も見事な重量感でしたし、フィナーレのキレの良さ、畳み掛ける迫力も素晴らしく、ブルックナーの響きを堪能しました。

第1楽章、ヴァイオリンのトレモロに続き、チェロとホルンによる暖かな第1主題の呈示、ちょっと不安定感も憶えましたが、紡ぐようにゆっくりと高めてゆきます。 シューベルトの時よりもチェロとコントラバスの精度がまるで違いますね。 練習量の差でしょうか、弦の分奏が綺麗に聞こえてきます。 第2主題が呈示されて明るさが射し、金管が底力ある響きを覗かせながら丁寧に進めてゆき、クレッシェンド。 これをすっと翻す機動力も万全。 中低弦のピチカートが見事に揃って息づいてますし、ホルン、トランペットのソロも見事です。 しかし何より柔らかで綺麗な高音弦、引き締まった中低音弦の太い響きが素晴らしく、これを浅野さんが強弱をうまくつけてコントロール。 引き締まった美しい音楽です。 第1主題が戻ってきて、豊かに響くチェロ、まろやかだけど力のあるホルンの響き堪能。 オルガントーンかしら、広々とした音楽を楽しみながら、この大きなホールで演ることを納得しました。 そして壮麗なコーダ、これをすくいあげるようにしてこの楽章を止めました。

第2楽章、ヴィオラとワーグナーチューバによる厳かな開始、豊かに響くヴァイオリンも軽やかに絡んできて、大きく呼吸する音楽がとても見事。 上から見ていることもあってよく判るのですが、弦の分奏が綺麗に揃っているのが見えます。 しかも弓を最大限に使って歌い込んでいますね。 ああ、いい音楽だ。 第2主題かしら、浅野さん、腕をゆらゆらと動かして表情をつけていて、ここに美しいフルートの音色が挟み込まれて、ここもまた綺麗。 テンポはかなり遅いのでしょうが、たっぷりとした美しい音楽の響きに身を委ねる、これがブルックナーの醍醐味やな、などと想いながら聴き進めてゆきます。 そしてゆったりと歌い上げてゆき、シンバルが広大な感じで鳴ってぐっと盛り上がり、そしてまた大きく歌いあげてゆきます。 最後、ワーグナーチューバとホルンによるコラール、ワーグナーの死を悼むような柔らかな吹奏として、そっとこの楽章を終えました。 ここでのまろやかながらタイトなホルンのソロ、美しくも痛切な響きがとても素晴らしかったことを加えておきます。

第3楽章、小さく振って締まった弦のリズム、トランペットがまろやかな響きで吹きます。 低弦の響きに底力あって、ぐいぐいと乗ってきます。 輝かしい金管もさることながらティムパニ、コンパクトに打ってますが、的確でインパクトのある打音がとても素晴らしい。 ゆらめくような第2主題、浅野さん、やはりゆらゆらと腕を振って踊っているようですね。 そしてさっと翻して第1主題の再現、またもやグイグイと乗せてカッコ良い音楽。 壮麗な金管、ドロドロっと鳴るティムパニの音、音楽に巻き込まれ、首を動かして聴いていたら、ずっと隣りのおじさんも同じように首を動かしてました。 この壮麗な響きをスパっと止めました。

第4楽章、ほとんど間を置かず始まります。 艶やかなヴァオリン、重い響きのチェロとコントラバス、美しい木管と緻密に繋いでゆき、絡みあうよに進みます。 低弦ピチカートがしっかりとしていますね。 浅野さん、ぐぃと振ってタイトな金管を導き出します。 壮麗な響きが素晴らしいのですが、落着いた音楽ですね。 低弦がきりっと引き締まっているし、まるで堅牢な構築物を見るような感じ。 ブルックナー休止も綺麗に揃って止まって残響がホールにこだまします。 そして浅野さんのハナ息とともにタイトに響き。 これが何度か繰り返されるうちスピードアップ。 更にタイトな響きとなってホールが満たされます。 ドロドロっと響くティムパニのロールと低弦の重厚な響きに乗って歌い上げられた壮大なフィナーレ。 これを高く上げた腕を大きく廻して全曲を纏めました。
ブルックナー音楽の醍醐味をたっぷりと味合わせてもらった素晴らしい演奏でした。

お客さんは少なかったけれど、アットホームな雰囲気、そして皆でこの素晴らしい演奏が共有できて良かったなぁ、そんな想いを込めて熱い拍手を贈りました。 とてもいい演奏会でした。

次回、いつ演るのか判りませんが、また楽しみにして待ちます。