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吹田市交響楽団 第63回定期演奏会

パワフルかつリッチ・サウンド戻る


吹田市交響楽団 第63回定期演奏会
2007年6月3日(日) 14:00  吹田市文化会館メイシアター大ホール

チャイコフスキー:イタリア奇想曲
プーランク: バレエ組曲「牝鹿」
リムスキー・コルサコフ: 交響組曲「シェエラザード」 (*)

(アンコール)グリーグ: 「ペールギュント」より「ソルヴェイグの歌」 (*)

ゲスト・コンサートミストレス:納庄麻里子(vn) (*)

指揮: 米山信(*)、新谷武


パワフルかつリッチ・サウンドを堪能した演奏会でした。

冒頭の「イタリア奇想曲」より、雄大でかつ畳み掛ける迫力満点の演奏に圧倒されました。 新谷さん、いつものながらの精力的な指揮なのですが、落着いた振り。 オーケストラよりたっぷりとした響きを導き出した素晴らしい演奏でした。 この曲、派手に吹いてチャラチャラとした演奏になりがちという印象を持っていますが、この演奏会では悠然と曲を進めてたっぷりとした響きを堪能し、目(耳)を見張りました。

そして同じく新谷さんの指揮によるプーランクのバレエ曲「牝鹿」、 バレエ組曲版ですが、機動力ある演奏として、これでバレエを踊るのはちょっと難しいかな、なんて思えるリッチなサウンドでした。 ゴージャスと言っても良いかもしれませんね。 とにかくここでも新谷さんの精力的な指揮で、楽しく豊かな響きが満載された演奏を大いに楽しませてもらいました。

指揮者が米山さんに交代したメイン・プロ、ゲスト・コンサートミストレスの納庄麻里子さんを迎えての「シェエラザード」は、要所の機動力はそのままですが、楷書で描いたような清潔感の高い演奏でした。 米山さん、いつもの端正なリードでオケを纏め、納庄さんの独奏もまた繊細で透明感の高さが特徴的。 ちょっと淡々と進んでゆくような感じもしましたけれど、迫力は満点、聴き応えのある演奏でした。

もっとも個人的には、米山さんが「牝鹿」を指揮され、新谷さんで「シェエラザード」だとどうだったかなぁ〜 などと思いながら聴いていました(余計なことですけれど)。

お客さんの入りも良く、オーケストラサウンドを存分に楽しんだ演奏会でした。
次回のサマーコンサートでのデュカスの「魔法使いの弟子」、プーランクの「子象ババールの物語」にも期待が膨らみます。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

週間天気予報では雨、しかも大雨になっていたと思いますが、雲ってはいるものの雨は回避できそうです。 体調イマイチなんで雨が降らなくてよかった・・な〜んて思いつつホールに到着。 開演20分ほど前だったかしら。 パンフレットを受け取って2階席への階段を登ります。

いつもどおり中央通路後ろの そ-30 に腰をおろしましたが、なんかしんどい。 動悸がしていますね。 とにかくここは足元が広いので、お行儀が悪いのですがクツを脱き、大きく深呼吸をしてリラックス。 深々とシートに埋もれるようにし、ゆったりと開演を待ちました。

5分前を告げるブザー、そしてアナウンス。 この頃には落ち着いていました。 そして定刻、場内の照明が落ち、ステージが照らされて整列入場が始まります。 14-11-8-9-7 の編成でしょうか。 通常配置です。 コンマスによるチューニングを終えると、指揮者の新谷さんが登場し、まずオケの全員を立たせてから会釈して登壇。 さあ始まります。

チャイコフスキーの「イタリア奇想曲」、雄大でかつ畳み掛ける迫力満点の演奏に圧倒されました。 新谷さん、いつものながらの精力的な指揮なのですが、落着いた振り。 オーケストラよりたっぷりとした響きを導き出した素晴らしい演奏でした。 この曲、派手に吹いてチャラチャラとした演奏になりがちという印象を持っていますが、この演奏会では悠然と曲を進めてたっぷりとした響きを堪能し、目(耳)を見張りました。

冒頭より惹きつけられました。 艶のあるトランペット、張りのあるホルンやトロンボーンなどのファンファーレに深みのあるサウンド。 素晴らしい。 弦楽アンサンブルも落着いた音色で纏っています。 イタリア民謡の明るい旋律も、新谷さん、いつもながらの精力的な指揮ですが、落着いて曲を運んでいます。 軽やかなファンファーレがまた魅力的でした。 伸びやかな弦楽器の音量が徐々に上がって、シンバルの一撃。 これがまた見事なタイミングでした。 ドキっとするぐらい。 重量感のある弦楽器も素晴らしく、しばし流れてくる音楽に身を任せることにしました。 この曲をこんなにたっぷりと楽しめるなんて初めてじゃないかしら。 活気があるし、落着いてもいて、もちろん迫力も満点。 コーダもまさしくそんな感じで畳み掛けた迫力のまた凄いこと。 終演後のブラボーも掛け値無しでした。 目(耳)を見張りました。

管楽器のメンバーがシフトしたり入れ替わったりして準備を整えます。 そしてコンマスが立ち、管楽器メンバーのみのチューニングを実施。 コンマスが席についたら準備完了のようです。 新谷さんが出てこられて一礼し、始まります。

プーランクのバレエ曲「牝鹿」、 バレエ組曲版ですが、機動力ある演奏として、これでバレエを踊るのはちょっと難しいかな、なんて思えるリッチなサウンドでした。 ゴージャスと言っても良いかもしれませんね。 とにかくここでも新谷さんの精力的な指揮で、楽しく豊かな響きが満載された演奏を大いに楽しませてもらいました。

1曲目ロンド、フルートとクラリネットかな、しっとりとした響きによる開始、トランペットもまた軽やかに吹くと、オケが駆け出して楽しさ満点の音楽になりました。 ニュアンスに富んだ音楽がとても心地良いですね。 中間部かしら、弦楽アンサンブルによるちょっと陰のある演奏もまた素敵で、そしてまた駆け出すと、新谷さんの動きは踊っているみたい。 楽しい音楽を味わいました。 ふわっとした着地でこの曲を終了。

2曲目アダージェット、木管アンサンブルにコントラバスの響きがしっとりと絡んだ始まり。 柔らかな弦楽アンサンブル全体もまた揺れるように絡んできます。 金管がおどけたような響きで入ってきたのもよかったですよ。 音量が上がると行進曲風かしら。 大きくうねるようでもあり、自在な演奏ですね。 巧いなぁ。 楽しませてもらいました。 フルートとコントラバスのふわっとした響きで終了。

3曲目ラグ・マズルカ、軽やかなトランペットの響きからオケが駆け出し、これもまた楽しい音楽ですねぇ。 新谷さん、要所に力を込めてパワフルで聴き応えのあるサウンドを繰り出します。 リッチ・サウンド。 弦と管もよく合ったサウンドは、ゴージャスと言っても良いかもしれません。 新谷さん、更に力を込めて両手をぐっと下ろして演奏を止めました。

4曲目アンダンティーノ、木管の落着いた響きに弦の軽やかな響き、金管を交えつつ変化するアンダンティーノ。 ニュアンスたっぷりですね。 ホルンがいい音色してました。 トランペットも艶があります。 快活な音楽として、新谷さんの力のこもった右手がぐるりと回って止まります。

5曲目終曲、軽やかに走りだした弦楽器、金管を絡めながら豊かな響きとなります。 金管のパパパー、弦楽器のズンズンズン、おおっ、これもリッチ・サウンド。 中間部ではジャズっぽくもあって楽しめました。 そしてまた駆け出すと、機動力満点のオーケストラ・サウンド。 スネアがバシバシ響いてきますね。 そんな畳み掛けるようにした終結。 残響がホールに残りました。

ブラボーも出ました。 吹響のサウンド、前回あたりからパワフルになってきたみたいやなぁ〜なんて思いながら、熱い拍手を贈りました。

15分間の休憩。 また動悸がしてきたみたい。 ロビーに出て、ペットボトルのお茶など飲んで落着かせます。 これがシンフォニーホールだと係員が飛んできて、飲食禁止です、なんて言うのだろうなぁ〜。 また、他所行きのワンピースを来た未就学と思われる女の子がお母さんの前をちょこちょこっと歩く姿も可愛くてね、これもシンフォニーホールでは見られない光景ですね。 アマオケ演奏会らしくていいなぁ〜と思いました。 しゃっちょこ張った演奏会は疲れます。

定刻、照明が落ちてステージが明るくなってオケのメンバーが整列入場します。 席についたあと、ゲスト・コンサートミストレスの納庄麻里子さんが拍手とともに登場。 納庄さん、2005年1月30日の第59回定期演奏会以来、このときはサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番を艶っぽく濡れた響きで演奏されていましたね。
納庄さんによるチューニングが終わると、指揮者の米山さんが登場。 まず納庄さんと握手し、一礼してじゃら登壇。 さぁ始まります。

リムスキー・コルサコフの「シェエラザード」、要所の機動力はこれまでどおりですが、全体として楷書で描いたような清潔感の高い演奏でした。 米山さん、いつもの端正なリードでオケを纏め、納庄さんの独奏もまた繊細で透明感の高さが特徴的。 ちょっと淡々と進んでゆくような感じもしましたけれど、迫力は満点、聴き応えのある演奏でした。

第1楽章「海とシンドバットの船」、底力を感じさせる金管をすっと導き出した開始。 いつもながらの米山さんの端正な棒、そして納庄さんの独奏もまた繊細で透明感の高さが特徴的でよく合っています。 纏った響きの弦楽アンサンブルによる船出、これも端正で波の切り返しもすっと流れてゆきますね。 米山さんらしいサラサラっとした運びながら、金管のパワーは充分。 チューバ、バス・トロンボーンなどお腹に響く感じ。 見栄を切ったりせず、ストレートな感じで盛り上がってゆきます。 端正で清楚な響き。 指揮者が新谷さんだったらどうしていたかなぁ、などと余計なことも頭をよぎりました。 爽やかな木管、落着いたチェロのソロでしっとりと終了。

第2楽章「カランダール王子の物語」、可憐な響きでゆったりと歌う納庄さんの独奏。 綺麗な響きですねぇ。 そしてファゴットがゆったりと歌ってとてもいい感じ。 オーボエもまた落着いた艶のある響き、やわらかなホルンも絡んできて楽しみます。 小さく丸くさっと振ってコントラバスの力のある響きで一転。 キレは良いけど、落着いて進めます。 トローンボーンの力感、トランペットの輝き、弦楽器のピチカートも息づいてて、機動力を感じさせる盛り上がり。 ここでも見得など切りません。 端正な曲の運び、米山さん、膝でリズムをとって徐々にまた盛り上げいった全奏を潔く止めました。

第3楽章「若い王子と王女」、さっと振って柔らかなヴァイオリンの暖かな響きを導きだしました。 しっとりとしながらも、小さく上下に振って拍をとりながら進める落着いた演奏ですね。 スネアが入り、クラリネットが落着いた音色、フルートの明るい響きがからむ行進曲。 ここもまた淡々と進んでゆくような感じやなぁ、なんて思いました。 金管もまた清楚に響くような感じですものね。 そして納庄さんの独奏、可憐で濡れたような響き、伸びやかに歌ったのに聞き惚れました。 そしてオケが入って音量が上がり、潔くしっかりと要所を決めて進めていって最後はチャーミングに締めました。

第4楽章「バグダッドの祭り、海、船は青銅の騎士のある岩で難破、終曲」、機動力を感じさせながらも円やかな響きによる開始。 オケの響きに深みを感じます。 独奏ヴァイオリン、コントラバスの持続音、落着いた木管などなど、みなきちんと纏っていて、丁寧に進みます。 オケに機動力があるから安心して聴き進められるって感じ。 楷書できちっと描いたみたいやなぁ、なんて思ってみたりもしました。 大詰めもとても端正な盛り上がりで、大きくゆったりと進みます。 大太鼓にはお腹に響くようなパワーが欲しい気もしましたけど、この演奏ではやりすぎでしょうね。 銅鑼もまた響きを多くとっていたようです。 ゆったりと丁寧に進めたクライマックスを終えると可憐な納庄さんの独奏。 清楚な響きがホールに流れ、オケの柔らかな響きが引き継いでそっと全曲が閉じられました。
迫力はあるけれど清潔感の漂うシェエラザード。 見得を切ったり、揺らしたり、煽ったり、そんなことのない演奏で、品格というのかな、そんなものも感じた演奏でした。

お客さんの入りも良く、オーケストラサウンドを存分に楽しみました。 次回のサマーコンサートではデュカスの「魔法使いの弟子」、プーランクの「子象ババールの物語」ですか。 こちらも期待が膨らみますが、とにかく皆さんお疲れさまでした。