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アンサンブル・コスモリバティ 第17回定期演奏会

アンサンブルの味わい深さ戻る


アンサンブル・コスモリバティ 第17回定期演奏会
2007年6月30日(土) 14:00  吹田市文化会館メイシアター中ホール

グリーグ: 組曲「ホルベアの時代から」 Op.40
早川正明: バロック風日本の四季より「夏」
モーツァルト: ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調「軍隊」 K.218
シューベルト: 交響曲第5番 変ロ長調 D.485

(アンコール)シューベルト: セレナーデ

独奏: 池川章子

指揮: 木村俊明


人生の諸先輩方による味わい深い演奏会を今年も楽しみました。

冒頭の「ホルベアの時代から」はまだ少々手探りな部分も感じましたけれど、誠実なアンサンブルが味わい深く、とくにアリア。 人生の晩秋も感じさせる静けさに心が沁みました。

続く早川正昭作曲の「バロック風日本の四季より『夏』」を個人的には特筆大書しておきたいですね。 昨年の『春』でも感じたのですが、演奏者の皆さんの共感を感じさせる演奏に胸を躍らされ、心洗われました。 気持ちがよくのった豊かなアンサンブルを聴かせた第1楽章「我は海の子」、短調ながら馴染んだメロディを追いかけてうっとりとさせる第2楽章「雨」、そして艶やかなヴァイオリン・ソロも相俟って爽やかな第3楽章「海」と、いずれも日本の夏の風物をさらっと感じさせる素晴らしい演奏でした。 客席からも惜しみない拍手が贈られていました。 来年は『秋』がかかるとのこと、今からもう楽しみにしています。

そしてソリストに池川章子さんを迎えたモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第4番。 プログラムに書かれたとおりの「共奏曲」。 池川さん、先日の枚方フィルではベートーヴェンだったこともあって少々気負いのようなものを感じたのですが、ここでのモーツァルトは美しい響きで歌って素敵。 暖かみを感じさせるふくよかな響きでもありました。 オケもまた指揮者の木村さんのもと、雄弁に奏でて競奏して協奏。 興に乗るのではなく、理知的な感じもさせたモーツァルトをたっぷりと味わいました。

休憩を挟んでメインのシューベルトの交響曲第5番。 こちらは覇気を感じさせる演奏が見事でした。 若い管楽器奏者の方々に刺激されたこともあるのでしょうか。 活きのいい第1楽章、落ちついた色合いの第2楽章、誠実に進めた第3楽章に終楽章では力のこもったフィナーレへと結びつけて幕。 常に低弦がしっかりと鳴り、その上に各パートが乗って響きを合わせた素晴らしい演奏でした。 これは指揮者の木村さんの手腕によるところ大なのでしょうが、演奏しきったオケの皆さんも立派。 演奏もさることながら終演後の皆さんの笑顔もとても爽快でした。

昨年「理詰めで音楽を聴いたり演奏するのとは違う音楽の楽しみを感じた」と書きましたけれど、今年もまったく同じ。 うまく年輪を重ねた方々の素適なアンサンブルを楽しみました。 いくつになっても楽器を演奏して音楽を楽しめる、素晴らしいことだと思います。 元気を頂きました。
有り難うございました。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

直前までアレコレやっていたので慌てて家を飛び出したのですが、定期券を忘れたことに気付いてUターン。 200メートルほどとって返しただけなのですが、もう汗びっしょり。 定期券を持ち、慌てて団地に通じる階段をまた駆け上って駅まで急ぎました。 演奏会、優雅に臨みたいのですが、いつもドタバタやっているような気がします。

電車の乗り継ぎが良かったこともあり、会場には開演15分ほど前に到着。 無料公演ですが、自宅に届いていた招待ハガキを渡してパンフレットを受け取りました。 これで来年も招待ハガキが来るらしいです。 それはともかく、ホールに入ると中央付近の主だった座席には人が入っています。 一人くらい潜り込めないことはありませんが、左側より5列目 し-5 に着席しました。 前後の位置関係ならば中央付近かしら。

開演5分前を告げるブザーとアナウンス。 ホールはほぼ9割位の人が入っているでしょうか。 さすがに年配の方が多いような気がして、子供が居ないなぁ〜 なんて思っていたのですが、演奏中に入って来られたのは皆さん小さなお子さん連れ・・・何かイヴェントでもあったのかなぁ、なんて思いましたけどね、これは余談。 さて、プログラムの訂正(休憩時間の訂正)のアナウンスのあと整列入場されて 10-8-7-7-3 の編成のようです。 コンミスがチェンバロの音を出すように指示をしてチューニングを実施。 ステージが明るくなり、指揮者の木村さんがにこやかな笑顔を携えて登場され、いよいよ始まります。

グリーグの「ホルベアの時代から」、勢いのある開始に透明感を感じさせた冒頭は良かったのですけれど、楽器の数が少なくなったりすると少々手探りな部分も感じたりもしました。 でも、皆さんの誠実なアンサンブルが味わい深くも感じる演奏でした。 中でもアリア。 人生の晩秋も感じさせる静けさに心が沁みました。

前奏曲、勢いのある開始、それに続いて透明感を感じさせる高音弦に、中低弦の響きもうまくブレンドさせた上々の滑り出し。 多少アンサンブルが緩く感じた部分もありましたが、チェロ・トップの男性奏者の方など身体を大きく使って表現されていたのがとても印象的。 また音楽に勢いをつけてこの楽章を閉じました。

サラバンド、慎重な開始だったのですが、これがちょっと裏目に出たかな。 丁寧に進めてゆきますが、どことなくしっくりこない感じ。 でもチェロのソロなど味わい深くて、皆さんの一所懸命さはよく伝わってきます。 手抜きなどまったく感じません。 しみじみとした音楽を味わいました。


ガヴォットとミュゼット、ここでも慎重な開始でしたけど、低弦が入って演奏に芯が出ました。 木村さん、時に身体をゆすってリズムをとりながらミュゼットを進めます。 誠実に響きを重ねるオケ、楽器の数が少なくなるとやはり少々手探りな感じもしましたけれど、最後は力こめた恰幅の良い音楽として締めくくりました。

アリア、想いのよく乗ったヴァイオリン。 中音弦もしっかりと絡み、コントラバスが3本ながらよく鳴っています。 この深い響きのアンサンブル、想いの深さが出ているのじゃないでしょうか。 とても味わい深い音楽です。 静かに深く歌って、素敵に響き、人生の晩秋も感じさせる静けさに心が沁みました。 とても素晴らしい演奏でした。

リゴードン、朴訥とした響きによる開始。 ヴァイオリンのソロも素朴な響きですね。 フィドルを奏でているようです。 ぐっと盛り上がってチャーミングに。 そしてゆったりと流す中間部は味わい深く、丁寧に紡いでから冒頭の旋律を戻します。 ヴァイオリンのソロがやはりフィドルの響きみたい、などと思っていたら次第に力がこもってきて、木村さんが軽く力を込めて全曲をまとめました。

木村さんがいったん楽屋に退き、オケの皆さんはそのまま着席したままで次ぎの曲へと進みます。

早川正昭作曲の「バロック風日本の四季より『夏』」、昨年の『春』でも感じたのですが、演奏者の皆さんの共感を感じさせる演奏に胸を躍らされ、心洗われました。 気持ちがよくのった豊かなアンサンブルを聴かせた第1楽章「我は海の子」、短調ながら馴染んだメロディを追いかけてうっとりとさせる第2楽章「雨」、そして艶やかなヴァイオリン・ソロも相俟って爽やかな第3楽章「海」と、いずれも日本の夏の風物をさらっと感じさせる素晴らしい演奏でした。

第1楽章「我は海の子」、先の演奏よりも格段に豊かな響きを聴かせる充実したアンサンブルが「我は海の子、白波の・・」のフレーズを垣間見せつつ進めます。 アンサンブルがよく歌っていて、これは共感以外の何物でもないでしょう。 各パートもしっかりとしていて、旋律を歌いまわし、いい曲・いい演奏だなぁと存分に楽しみました。

第2楽章「雨」、短調によるしっとりとした開始。 モダン・チェンバロでしょうね、ややはっきりとした響きが顔を覗かせています。 北原白秋の詩、不勉強なのではっきりと想い出せないのですが、旋律は馴染んでいます。 心に沁みる合奏が、しっとりとして、うっとり。 味わいの深い合奏、独奏ヴァイオリンも可憐な響きで素晴らしかったなぁ。

第3楽章「海」、アタッカで一転して明るく軽やかに駆けだします。 艶やかな高音弦に独奏ヴァイオリンが軽快に絡んで息づいたアンサンブル。 軽く首を振ってリズムをとっている自分に気付きましたが、周りを見るとやはり同じように聴いてらっしゃる方もいました。 そんな艶やかなアンサンブルのままで全曲を締めました。

素晴らしい演奏に、客席から惜しみない拍手が贈られていました。 来年は『秋』がかかるとのこと、今からもう楽しみです。

ヴァイオリンの席を後ろにズラして独奏者のスペースを空けるとともに管楽器奏者の方も出てこられました。 弦楽器の編成はこれまでと変わらないようです。 コンミスが立ち、チューニングを行って準備が完了すると、淡い黄色で薄い生地のドレスをまとった池川さんが指揮者の木村さんとともに登場。 池川さん、とても爽やかな感じがしますね。

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第4番。 プログラムに書かれたとおりの「共奏曲」でした。 池川さん、先日の枚方フィルではベートーヴェンだったこともあって少々気負いのようなものを感じたのですが、ここでのモーツァルトは美しい響きで歌って素敵。 暖かみを感じさせるふくよかな響きでもありました。 オケもまた指揮者の木村さんのもと、雄弁に奏でて競奏して協奏。 興に乗るのではなく、理知的な感じもさせたモーツァルトをたっぷりと味わいました。

第1楽章、引き締まった合奏による開始。 木村さん、リズムに乗せた勢いのある序奏を止めます。 池川さん、軽やかに歌い出してぐっと背伸びをするようにして伸びのある艶やかなソロ。 力感も十分に感じられます。 オケも丁寧に付けていて、でもオケだけの部分になると力を増した合奏とします。 独奏が戻ってきくると、さっきよりも雄弁に歌うような感じ。 いい感じですね。 そしてオケもまた雄弁になって協奏。 カデンツァ、豊かな響き、深みも感じさせる技巧に客席を惹きつけていました。 最後は力のこもった独奏とし、この力を引き継いだオケが熱気をもってこの楽章を閉じました。

第2楽章、落着いた響きに管楽器もそっと絡んで始まります。 独奏がしっとりとした響きで入ってきて、オケと絡みながら歌います。 軽やかで、鳥の囀りのようでもあって、ゆったりと歌うヴァイオリンの艶やかな音色がホールに満ち、平和な時間が流れてゆくようでした。 うっとり。 カデンツァも可憐さを感じもさせながらも暖かみのある美しい響きに魅了。 大きく歌うとオケもそれにのって豊かな響きとし、最後はすっと消え入るように終わりました。

第3楽章、木村さんが左首をくるっとまわして池川さんの独奏を導きますと、艶やかで愛らしい旋律が歌います。 オケもそれに応えて落着いた音色での合奏。 歯切れの良さもありますが、低弦がしっかりと絡んで誠実に進めているといった感じ。 落着いた曲の運びで進める木村さんに独奏・オケとも一体となって進んでゆき、そして主題を戻します。 低弦がしっかりと絡んでここも落着いています。 そしてカデンツァを軽やかで艶やかに歌うと、伸びやかなオケに引き継がれて力が篭もりますけれど、これを丁寧にすっと下げて全曲をそっと閉じました。

興に乗せるのではなく、理知的な感じをさせるモーツァルトでした。 池川さんにはベートーヴェンよりもモーツァルトが似合っていますね。 暖かみを感じさせる音楽をたっぷりと楽しみました。

15分間の休憩。 席でアンケートなど書きながら開演を待ちます。 無料公演とはいえ、よく入っていますね。 さて定刻、オケの皆さんが出て来られて着席されますと、弦楽器は 11-10-7-7-3 の編成のようです。 コンミスが立ち、チューニングを実施して準備完了。 前半とおなじく白の上着が爽やかな指揮者の木村さんが出てこられて始まります。

シューベルトの交響曲第5番。 覇気を感じさせる演奏が見事でした。 若い管楽器奏者の方々に刺激されたこともあるのでしょうか。 活きのいい第1楽章、落着いた色合いの第2楽章、誠実に進めた第3楽章、終楽章では力のこもったフィナーレへと結びつけて幕。 常に低弦がしっかりと鳴り、その上に各パートが乗って響きを合わせた素晴らしい演奏でした。 これは指揮者の木村さんの手腕によるところ大なのでしょうが、演奏しきったオケの皆さんも立派。 演奏もさることながら終演後の皆さんの笑顔もとても爽快でした。

第1楽章、軽やかな木管と爽やかな高音弦、それに低弦がしっかりと絡んだ覇気のある音楽が走り出しました。 爽快です。 音量が上がって覇気も感じさせていいですね。 主題が繰り返されると2度美味しいアーモンドチョコみたい(このフレーズが解る人は同年代?)。 この曲が好きなこともありますが、ぐいぐいと惹き込まれるように聴き進めます。 多少アンサンブルの精度が落ちるように感じた部分はありましたけれど、活きの良さがありますものね。 最後は潔く力を込めて止めました。

第2楽章、木村さんヴァイオリンの方を向いて振って豊かなアンサンブルを引き出します。 木管がうまく絡んで穏やかで美しい旋律。 コントラバスが3本なのにしっかりとアンサンブルの土台になっていて、木村さんが更にオケを引き締めて豊かな音楽としています。 落着いた色合いのシューベルトが素敵です。 丁寧に紡いでゆく響きをぼぉ〜と聴いていたら、木村さんが左手でそっとオケを止めてこの楽章を終了しました。

第3楽章、軽いハナ息とともに力の篭もった合奏。 ここでも低弦と木管がうまく絡んでいていいですね。 とても誠実な感じで曲を丁寧に曲を進める木村さん、中間部あたりかしら、ちょっと一本調子に思えた部分もありましたけれど、主題を戻して威厳を漂わせる音楽として、最後はぐっと締めてこの楽章を終えました。

第4楽章、小さく振って華やかな気分にさせる主題の呈示。 力が入っても低弦の響きの上に高音弦が乗っていて、安定した音楽。 覇気が感じられます。 第2主題となり柔らかな木管が絡んでここもいい感じ。 指揮者の木村さんの手腕によるところ大なのでしょうが、響きを合わせ歌い合わせて曲を進めています。 各パートともに一所懸命な感じにも見えるので、演奏されている方は必死かもしれませんけれど合奏する楽しさが伝わってくるような演奏です。 素晴らしいですね。 コーダも力の篭もった演奏として全曲を閉じました。

年配の方と若い管楽器奏者の演奏、互いに刺激しあっているのでしょうか。 そんな爽やかで覇気のある演奏に大きな拍手を贈りましたが、ステージの上の皆さんの笑顔もまたとても爽快でした。
そしてアンコールのシューベルトのセレナーデ、これも楽しくて、昨年「理詰めで音楽を聴いたり演奏するのとは違う音楽の楽しみを感じた」と書きましたけれど、今年もまったく同じでしたね。 うまく年輪を重ねた方々の素適なアンサンブルを存分に楽しませてもらいました。 いくつになっても楽器を演奏して音楽を楽しめる、素晴らしいことだと思います。 元気を頂きました。 有り難うございました。