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大阪府医師会フィルハーモニー 第37回定期演奏会

重厚な響きが軽快に戻る


大阪府医師会フィルハーモニー 第37回定期演奏会
2007年7月29日(日) 14:00  いずみホール

J.シュトラウス: 喜歌劇「こうもり」序曲
メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲ホ短調op.64 (*)
シューマン: 交響曲第2番ハ長調op.61

(アンコール)J.シュトラウス: 喜歌劇「こうもり」序曲 後半部分

独奏: 重岡菜穂子(vn)

指揮: 奥村哲也


重厚な響きながら軽快に進めていく演奏の数々、ストレートで熱い演奏には気合が入ってました。
指揮者の奥村哲也さんのリードによるものかもしれませんが、どの演奏もやや即物的な感じでカチっと纏めていたようです。 なかでもシューマンの交響曲第2番、シューマンらしいもやもやっとした感じもよく出ていましたし、全員がひとつの響きにまとまっていた素晴らしい演奏でした。

シューマンの交響曲第2番、実演で聴いたのはこれが2回目でしょうか。 大好きな曲で、なかなか実演では聴けない曲でもあって期待も大きかったのですが、その期待を遥かに上回る素晴らしい演奏でした。 何より全員がひとつにまとまった演奏が素晴らしく、譜面をバサッとめくる音もまた大きく、気合が入っていましたね。 ぐぃぐぃと進めていたのがとくに印象に残りました。 シューマンの交響曲、オーケストレーションが稚拙だといわれますが、そのもやもや感もよく出ていましたけれど、オケの響きの質が均質でしかも重厚。 しかもそれが軽快に駆けていたのにオケの実力を感じました。 満足しました。

メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は、そんな奥村さんがバックについて重岡菜穂子さんのキリっと引き締まった独奏を支えていました。 そして重岡さん、安定したテクニックで見事にこの曲を聴かせました。 巧かった。 もうちょっと感興に任せて弾くような柔軟性や自由度が欲しいなぁ〜 などと偉そうに思っていましたけれど・・・でも事前にきちんと計算して組み立てた安定した演奏なのですが、これを支える抜群のテクニック、難しいパッセージも軽やかに弾きこなして進めます。 そして何より素晴らしいのは、技巧だけではなく響きの質。 テクニックが立っても決して冷たい響きにならないことですね。 まろやかさやコクのある響きがするのがとても印象的でした。 フランドル地方の響きに似ているかなぁ、と思っていたら、プログラムをよく読むとベルギー王立音楽院の大学院に留学が決定されているそうですね。 この響きの質にはベルギーが合っていると思います。 亡くなってしまったけれどローラ・ボベスコのような魅力的なヴァイオリニストになって欲しいなぁ。 今後に期待。

冒頭のJ.シュトラウスの「こうもり」序曲もまた重厚な響きを軽快にスパスパと決めながら進めた演奏。 ここでも中低弦がしっかりと曲を支えていました。 また管楽器もよく揃っていて、全体の響きによく溶け合っていましたね。 もうちょっと抑揚つけたりタメを効かせると・・なんてヤボですか。 すみません。 このオケのこと初めて聴かせてもらいましたが、とてもポテンシャルの高いオケなのでそんな欲も出てきました。 許してください。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

まず選挙です。 最寄り駅を通り越し、反対側の公民館6階の体育館で投票を済ませました。
ちなみにここのホール、こじんまりとして室内楽にはもってこいの音楽ホールだと思いますけど、今年はまだ機会がありません。 ならチェンバー・アンサンブルはないのかな、などと思いつつ駅から電車に乗って大阪に出ました。

大阪も暑いですねぇ。 でも森之宮からいずみホールまで1駅、しっかり歩きましたよ。 10分前に到着。 ちょっとはダイエットになったかしら。 汗を拭き、座席交換の列に並ぶこと5分、引き換えて出てきたのはG−31。 ギャラリーではないので、まぁ良しとします。 ここのギャラリー、ステージはよく見えるけれど、足元は狭いし、音が硬く聴こえるような気がしていてあまり好きじゃないのですね。 ちなみにG列は前から8列目、ホールのほぼ右隅ですね(あと2列ほどありましたけどここにはお客さんは来ませんでした)。

定刻、1階席はほぼ満席。 お客さんよく入ってますね。 開演は5分ほど遅れたかしら。 ステージが明るくなって客席の照明が落ちると、ステージの左右より整列入場が始まりました。 よく見えませんが、12-14-9-9-6 の編成でしょうか。 通常配置で席につきます。 コンマスによるチューニング。 おっ、かなりしっかりとした音。 初めて聴かせてもらうオケですが、チューニングの音ではかなり期待できる感じで、その予感はピッタリと当たりました。
しばらくしてオケのなかを掻き分けるようにして指揮者の奥村さんが登場。 この指揮者の方も始めて聴かせていただくように思います。 かっぷくの良い身体つき。 同年代かしら。 どんな音楽が出てくるか楽しみです。

J.シュトラウスの「こうもり」序曲、重厚な響きを軽快にスパスパと決めながら進めた演奏でした。 中低弦がしっかりと曲を支えていて、力のこもった響きが繰り出されてきます。 よく見えませんけど、管楽器もよく揃っていて、全体の響きによく溶けあっていたのがよかったですね。 もうちょっと抑揚つけたりタメを効かせると・・なんてヤボですか。

奥村さんの軽いハナ息とともに荘重な感じの響きが出てきました。 落ち着いた音色。 オーボエの響きも深く、中低弦のピチカートもたっぷりと響きます。 しっとりとした上質な音楽といった感じ。
ちょっと畳み掛けるようしてからスイスイと進めます。 全体的な響きが厚く聞こえるのは、やはり中低弦がしっかりしているからでしょう。 高音弦はちょっと遠い位置にありますが、つややかで清楚な感じかな。 管楽器はほとんど見えませんけど、よく揃っていて、弦楽器の響きにもよくマッチしてますね。 トランペットがオケの響きの中をかいくぐるようにして顔を覗かせて聴こえていい感じ。 全体的にはもうちょっと抑揚などつける遊び心も欲しいような気もしましたけどれど、最後まで力を抜かず紳士な演奏。 フィナーレではぐっと力を込めて止めました。

トロンボーンなどの管楽器メンバーが抜け、ヴィオラ奏者も1名退いたでしょうか。 陣容を整えてコンマスによるチューニングを終えると、目にも鮮やかな真っ赤なドレスに身を包んだ重岡菜穂子さんが登場しました。 小柄な方なのですね。 東京芸術大学大学院修了とのこと、まだ幼さも感じさせるお顔はキリッと引き締まった表情で、若さが醸し出す潔癖さのようなものを感じました。

メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲、やはり見て感じた印象どおりの演奏だったでしょうか。 キリっと引き締まった演奏でした。 重岡さん、安定したテクニックで見事にこの曲を聴かせました。 巧かった。 もうちょっと感興に任せて弾くような柔軟性や自由度が欲しいなぁ〜 などと偉そうに思っていましたけれど・・・でも事前にきちんと計算して組み立てた安定した演奏なのですが、これを支える抜群のテクニック、難しいパッセージも軽やかに弾きこなして進めます。 そして何より素晴らしいのは、技巧だけではなく響きの質。 テクニックが立っても決して冷たい響きにならないことですね。 まろやかさやコクのある響きがするのがとても印象的でした。 フランドル地方の響きに似ているかなぁ、と思っていたら、プログラムをよく読むとベルギー王立音楽院の大学院に留学が決定されているそうですね。 この響きの質にはベルギーが合っていると思います。 亡くなってしまったけれどローラ・ボベスコのような魅力的なヴァイオリニストになって欲しいなぁ。 今後に期待。

第1楽章、わずかな前奏のあと艶やかだけど引き締まった音楽が流れ出しました。 重岡さんの表情は真剣で引き締まっていて、独奏も内省的な響きがしました。 オケの響きは重厚な感じですね。 やや早めのテンポかしら。 独奏が戻ってきましたが、抜群のテクニックでグイグイと進めてゆきます。 テクニックはあっても響きには冷たさをまったく感じさせません。 しっかりと弾きこなしてゆく感じなのかなぁ。 カデンツァ、ここも巧かったですねぇ。 凜とした深い響きには爽やかさも感じさせて魅了。 オケが戻ってくるとぐいぐいと盛り上がります。 独奏だけではなく木管、ホルンなどもストレートに吹いているようで、全体的にもうちょっと抑揚つけたり、ふっとため息をつくような感じも欲しいところですけどね。 重岡さんが指揮者の奥村さんを真剣な眼差しで見上げ、これを合図にぐいぐいと盛り上げるように進めていって力のこもった演奏でこの楽章を閉じました。

第2楽章、もちろんアタッカのままファゴットの持続音で静かに始まります。 ここでも重岡さんの真剣な表情が印象的。 想いをたっぷりとこめて奏でていますが、表情がどこか硬くてしっかりとこなしている、そんな風にも感じました。 オーケストラもまたしっかりとした響きでサポート。 全体的にちょっと平板な感じもうけましたが、キリっと引き締まった清潔感、潔癖というのかな。 相変わらず艶やかで深みも感じさせる重岡さんのヴァイオリンの響きは魅力的です。 オケと響きをあわせてそっとこの楽章を終えました。

第3楽章、穏やかというかちょっとためらい気味に入りましたけどすぐに引き締まります。 奥村さんの軽いハナ息、トランペットが輝きを見せて軽やかに駆け出しました。 重岡さん、安定感抜群で弾き進めます。 これまで少々硬い表情でしたが、ほんのちょっとだけ表情が緩んだかしら。 それでも感興に乗せて弾くようなことはせず、また真剣な表情に戻ってきりっと弾き進めます。 オケの木管もソロによく合わせてますし、弦楽器との掛け合いも素晴らしい。 重岡さんのテクニックにはますます磨きがかかって自在に弾きこなしていってエンディング。 奥村さんが力を込めて畳み掛けるように全曲をまとめました。 巧い演奏でした。
終演後、重岡さん、ちょっとはにかんだような笑顔も覗いたようですが、引き締まった表情は最後まで崩れず、会場からの大きな拍手を受けておられました。 とにかく抜群なテクニック、これをどう花開かせるか、今後に期待ですね。

20分間の休憩でしょうか、ロビーに出て、先日よりお世話になっている方と再会。 あまり時間がなくて申し訳ありませんでしたが、チェコの写真とお話など伺って一息つきました。 またよろしくお願いします。

定刻、整列入場が始まります。 編成は最初と同じかしら。 コンマスによるチューニングを行って準備が整います。 奥村さんが悠然と登場し、いよいよメインプログラムが始まります。

シューマンの交響曲第2番、実演で聴いたのはこれが2回目でしょうか。 大好きな曲で、なかなか実演では聴けない曲でもあって期待も大きかったのですが、その期待を遥かに上回る素晴らしい演奏でした。 何より全員がひとつにまとまった演奏が素晴らしく、譜面をバサッとめくる音もまた大きく、気合が入っていましたね。 ぐぃぐぃと進めていたのがとくに印象に残りました。 シューマンの交響曲、オーケストレーションが稚拙だといわれますが、そのもやもや感もよく出ていましたけれど、オケの響きの質が均質でしかも重厚。 しかもそれが軽快に駆けていたのにオケの実力を感じました。 満足しました。

第1楽章、トランペットによる序奏のファンファーレをきちっと決めて弦楽器に引き継ぎ、厳かな音楽が始まります。 これまでよりも若干中低弦の響きは抑え気味かしら。 慎重に進めてゆきます。 主部、付点付きのリズムが重厚かつ軽快に流れます。 ここから低弦の絡みもよく聞こえます。 金管などもよく揃ってくぐもったような響き、シューマンらしいもやっとしたヴェールをかけたような響きですね。 素晴らしい。 オケの皆さんも相当に気合入っているのでしょうね、譜面をバサッとめくる音も大きく響きました。 主題が展開され再現されて最高潮、ティムパニ(まったく見えませんが)重い響きですね。 金管も加わって力のこもった潔い終結でした。

第2楽章、ヴァイオリン(左)、中低弦(右)、ホルン(中央)が絡みあいつつもストレートに響き合わせて進みます。 各パートともこの楽章も気合入っています。 響きに弾力を感じますものね。 奥村さん、即物的というのかな、想いに左右されず、ぐいぐいと曲を進めてゆきますね。 低弦がよく聞こえるので安定感はありますし、ヴィオラなどの中音弦もハッキリと聴こええてきて嬉しいな。 奥村さん、これらをざっくりとひとつに纏めてぐいぐいと進めているといった感じでしょうか。 終結部でのコントラバスの強奏など、個人的には(やりすぎと思えるほど)もっと強くして欲しかったし、エンディングは粘りつくようなもさせて欲しかったけれど、ストレートな感じに進めてここも潔く終わりました。 最後のトランペットは全体の響きによくマッチしてて素晴らしかったことをつけ加えておきます。

第3楽章、ひそやかな高音弦、落ち着いた中低弦がゆっくりと絡みあいます。 オーボエも素敵な音色でしたし、ホルンが朴訥というのか、まさしく角笛のような響きを聴かせてくれました。 端正で落ち着いた演奏の中にも熱気が漂っているのを感じます。 クラリネットもまた哀愁の響きを聞かせていました。 密やかな感じを漂わせつつ、ゆっくりと慈しむようにしてこの楽章をふわっと着地させました。

第4楽章、奥村さんが両腕をさっと横に広げたと思ったらハナ息とともにスタート。 覇気を感じます。 やや開放的な響きですね。 中低弦がゴウゴウと力こめて弾いていて、高音弦も負けじと力入ってますね。 木管の響きが弦の響きに埋もれそうな感じなのは座っている席のせいでしょうか。 第2主題、柔和な感じとなってオーボエの響きも密やか。 でもまた盛り上がってくるとあとは一気呵成といった感じかしら。 ちょっと一本調子のような感じもしないではありませんが、気合こめて駆けてゆきます。 ホルン、トロンボーンも堂々と吹いてオケの響きによくマッチしていてオケみな一丸。 そしてエンディングではティムパニの強打まで加わって最高潮(ここの強打は必須です)。 奥村さん、大きく振ってぐっと溜め込むようにしたあと、開放的に響かせて全曲を閉じました。

重厚な響きながら軽快に進めていったシューマン、ストレートで熱い演奏でしたね。
たぶんに指揮者の奥村さんのリードによるものかもしれませんが、どの演奏もやや即物的な感じでカチっと纏めていたようです。 とにかく全員がひとつの響きにまとまっていた素晴らしい演奏でした。 暑い大阪の夏を更に熱くさせた演奏に大きな拍手を贈りました。