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天理シティオーケストラ 第7回定期演奏会

暑い日の熱い音楽戻る


天理シティオーケストラ 第7回定期演奏会
2007年8月5日(日) 14:00  天理市民会館やまのべホール

モーツァルト: 歌劇「魔笛」序曲
ベートーヴェン: ヴァイオリン協奏曲ニ町長op.61 (*)
ベートーヴェン: 交響曲第7番イ長調op.92

(アンコール)J.シュトラウス: ピチカートポルカ
(アンコール)J.シュトラウス: ラデツキーマーチ

独奏: 金関 環(vn)

指揮: 安野英之


暑い日の熱い音楽
アンコールのとき、指揮者の安野英之さんが言われた言葉どおりの演奏会でした。

しかもこのあとのデザートとして供された(アンコール曲の)ピチカート・ポルカの美味しいこと。 安野さん、わざとタメを作って客席を見て、くすっと笑いをとったりもしいて、メインディッシュからのお口直しもバッチリと決めていました。 そして最後は恒例のラデツキーマーチ。 これで足取りも軽くさせてのお見送りですね。 コース料理らしい安心感・お得感も感じせたいい演奏会でした。

さてコース料理の前菜はモーツァルトの「魔笛」序曲。 弦楽アンサンブルがしっかりとした演奏でした。 柔らかな和音、チャーミングに奏でる木管、コントラストをつけて金管が入ると溌剌とします。 個人的にはもうちょっと金管の音量を抑えて欲しかったところですが、これはメリハリだと解釈しました。 とても整った料理(演奏)に納得しました。

金関環さんをソリストに迎えたベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。 こちらは繊細で、素材を活かした日本料理の趣きがあったのではないでしょうか。 金関さんの独奏、特に第1・2楽章ではヴァイオリンに自ら語らせようとした感じ。 熱い感情は入れず、淡々と曲と向きあっているように思えました。 楽聖ベートーヴェン、そんな過剰なヴェールをはぎとったかのような演奏で、最初は少々驚きましたけれど、素材の面白さを教えてもらったような演奏に聴き入りました。

そしていよいよのメインディシュ、「のだめ」で一躍有名になったベートーヴェンの交響曲第7番。 覇気を感じさせる演奏で、何よりコンマス席に座った金関さんの動きの大きさに驚きました。 腰を浮かせるほど身体全体で演奏されてましたね、さっきまでとはえらい違い。 第1ヴァイオリンの音はすべて自分が出している、とも思えるような熱演で、しかもよく見ると第2ヴァイオリンのトップの方もまた金関さんに負けじと動く熱演。 このご両人を見ているだけで熱くなってしまいました。 そして終楽章、打ち付けるようなリズムでオケ全体が熱く燃えました。 しかも安野さんの安定したリードは最後まで崩れず、しっかりとした規範のもとでの大熱演。 高揚感のある素晴らしい演奏にこちらも熱い拍手を贈りました。

夏休み、会場には子供さんも大勢いらして、オーケストラ音楽の楽しさを存分に味わったのではないでしょうか。 熱い演奏会でした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

暑いなぁ、疲れ気味の奥さんとともにちょっと早めに家をでて、ゆっくりと歩いて駅に向かいました。 なんか年寄り夫婦みたいですけど、とにかく暑いので無駄な焦りは禁物。 余裕を持って歩き、電車の中ではペットボトルのお茶を飲んで水分補給も欠かしません。

天理駅前でダイソーに入って買い物をしたので、ホールには開演15分前に到着。 階段を登ってホールの後ろから入って4列目かな V-24,25 に着席。 開演を待ちます。 さすが夏休み、子供連れのお客さんが多いですね。 意外と夏休みには演奏会が少なくて、アマオケの方々も家族サービスをしているのかしら。 冷房の効いたホールで音楽を聴くのも良いものなのですけどね。

開演10分前より自由入場、オケの方がパラパラと集まってきました。 ベートーヴェンの交響曲第7番がかかるからでしょうか、オケの編成が対抗配置になっていますね。 金管もちゃんと左右に振り分けた配置です。
弦楽器の編成が 10-10-6-5-4 となって定刻のブザー、アナウンスのあと、しばらくしてコンミスの相原瞳さんが登場されてチューニングを行って準備完了。 安野さん、髪の毛をサッパリとさせて清々しい表情で登場されました。 さあ始まります。

モーツァルトの「魔笛」序曲。 柔らかな和音、チャーミングに奏でる木管、コントラストをつけて金管が入ると溌剌とします。 でも弦楽アンサンブルがしっかりとしていたのが何より良かったですね。 個人的には金管楽器の音量をもうちょっと抑えて欲しかったところですけれど、これはメリハリだと解釈しました。 よく整った演奏でした。

安野さんの軽いハナ息で開始、十分な間合いをとった柔らかな和音、ゆっくりと進めたあと、右側に配置された第2ヴァイオリンより軽やかに走り始めます。 柔らかな第1ヴァイオリンの後ろからコントラバスの響きもまた柔らかく響いてきてとてもいい感じ。 うっとり。 でも金管の響きがちょっとキツイ感じですね。 木管楽器がチャーミングなだけにちょっと惜しい感じ。
ファンファーレは包み込むような響きが回ってきます。 落ち着きもあって素晴らしい。 そしてまた柔らかな弦の響き、クラリネットなど木管も落ち着いた響きです。 やはり金管がややストレートに響くのが気になりますけど、これはコントラストでしょう。 落ち着いていながらも覇気を感じさせた魔笛序曲、ストレートに響きかせて潔く終了しました。 整った演奏でした。

第1ヴァイオリンの方々が退場されてソリスト用のスペースを空けます。 この間にトロンボーンやトランペットの方も1名退場、かわってホルンの方が入場しました。 コントラバスの方も1名増強されたようで、10-10-6-5-5 の編成になったようです。 コンミスがチューニングを行ったあと、正装された金関さんが安野さんとともに登場。 金関さん、もうちょっと髪の毛が長く、いわゆるロン毛だったと思っていたので、雰囲気違ってちょっとびっくり。 それはともかく始まります。

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。 金関環さんの独奏は繊細で、素材を活かした日本料理の趣きがあったのではないでしょうか。 特に第1・2楽章では、金関さはヴァイオリン自らに語らせようとしているかのような感じ。 熱い感情は入れず、淡々と曲に向きあっているように思えました。 楽聖ベートーヴェン、そんな過剰なヴェールをはぎとったかのような演奏に最初は少々驚きましたけれど、素材の面白さを教えてもらった演奏に聴き入りました。

第1楽章、柔らかなティムパニの打音、マイルドな木管の響き、肌触りの良い弦楽アンサンブルへと引き継いで牧歌的な上々の開始。 端正に盛り上げつつ曲を進めてゆきます。 この呈示部の終わり頃より、金関さんはヴァイオリンの調子を確かめるように軽くオケとともに弾いてましたね。 そしてクライマックスも一緒に弾き、カデンツァ風の独奏へと突入。 金関さんのヴァイオリンの響きのなんと繊細で落ち着いていること。 そしてぐっと伸ばすあたりも肩の力が抜けてサラリとかわして先へと進めます。 この曲をこんなにもチャーミングに弾いているのにまず驚きました。 オケもそんな金関さんに合わせて軽やかなサポートぶり。 オケだけになると音量も上がりますが、金関さんの独奏は気負いとか激情なんてのとは全く無縁で端正に曲を進めてゆきます。 カデンツァに入っても同様で、淡々と弾いて滋味な味わい。 技巧的な部分も気負いなど全く感じず弾き進めます。 オケも加わってゆっくりと慎重に進めてこの楽章を力強く終えました。

第2楽章、開始前にオケのチューニングを行ってから始まります。 ゆっくりと歌うようなしみじみとした開始。 ホルンも素朴な響きを聴かせました。 独奏は艶やかな響き、ちょっと線が細い感じがしたのは席がホール後方だからでしょう。 とても繊細な感じで、前の方の席ならばもっともっと細かなニュアンスが聴き取れたかもしれません(残念)。 金関さん、ここでも余計な感情を込めず冷静で淡々と、楽器自らに音楽を語らせているような感じです。 常に柔らかな独奏が語りかけていたのがとても印象的。 ああ素晴らしい。 オケもしみじみとした響きでしっとりとサポートしていたことを付け加えておきます。

第3楽章、伸びやで落ち着いた独奏、端正に歌ってから2オクターブ上の同じ旋律も軽やかに弾いてオケに委ねます。 オケもまた端正ながら力強い響き。 独奏に少々熱気が移ったかしら、響きに熱っぽさが感じられるようになりました。 しかし艶やかで軽やかなステップはそのままです。 ファゴットが素敵に響き、ソロがちょっと熱っぽく歌って主旋律を何度も繰り返すうち、熱気も徐々に増してきたようにも思えます。 オケは覇気を感じる響きで独奏とともに盛り上がってカデンツァに突入。 最初は凛として力がこもった響き、それを軽やかなトリルに戻します。 オケが加わって軽やかに歌ったあと覇気のある音楽へ。 トランペットが高らかに吹くフィナーレは華々しく、大きく弾むように着地して全曲を閉じました。
軽やかで繊細なベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲に当初は驚きましたけど、なるほどなぁと思えた演奏はとても気持ちよく、大きな拍手を贈りました。

15分間の休憩。 じっと席で開演を待ちます。 客席はほぼ9割位入っているでしょうか。 よく入っていますねぇ。 小学生と思しき子供さんも連れ立って出入りしてて楽しそうです。 夏休みっていいなぁ・・ なんて思っているうちに定刻でしょうか、自由入場でオケの方が集まってきます。 10-10-6-5-5 の編成となり、ゲストコンマスとして金関さんがチューニングを実施して準備完了。 安野さん、にこやかに登場して始まります。

ベートーヴェンの交響曲第7番。 覇気を感じる熱い演奏でした。 開始していきなりコンマス席に座った金関さんの動きの大きさに驚きました。 腰を浮かせるほどの熱演。 第1ヴァイオリンの音はすべて自分が出している、と思えほど身体全体で演奏されてましたね、さっきまでとはえらい違い。 しかもよく見ると第2ヴァイオリンのトップの方もまた金関さんに負けじと熱演をされていて、ご両人を見ているだけで熱くなってしまいます。 そして終楽章、打ち付けるようなリズムでオケ全体が熱く燃えました。 しかも安野さんの安定したリードは最後まで崩れず、しっかりとした規範のもとでの大熱演。 高揚感のある素晴らしい演奏でした。

第1楽章、弾力のある重い響き、覇気を含んだ開始ですが、熱い響きが徐々に表に滲み出てきた導入部。 活発に曲を展開してゆきますが、目についたのがコンマス席に座った金関さんの動き。 まさに腰を浮かしての熱演です。 すごい、と思ってよく見たら、第2ヴァイオリンのトップの方もまた腰を浮かすほどの熱演をされてました。 でも指揮者の安野さん、しっかりとリードを保ち、コントロールのよく効いた演奏としています。 フルートの柔らかくのピンと筋の通った響きも良かったですよ。 主部でもまた躍動的に曲を進めます。 ちょっと飛ばし気味かもしれませんけど、オケ全体がよくまとまっているのが良いですね。 最後は、コントラバスの響きを下支えにし、左右に振り分けられたホルンとトランペットがタイトに吹き上げ、端正にまとめてこの楽章を終えました。

第2楽章、葬送行進曲、先の楽章の熱気がまだ余韻のように残っているなか始まりましたが、深みを感じさせる響きのヴィオラとチェロが素晴らしい。 高音弦が入っても深みはそのままで、恰幅が大きくなったでしょうか。 大きなうねりをもって進みます。 暖かな響きのクラリネット、木管アンサンブルを端正にまとめていますが、この間もヴィオラの響きがよく聞こえてきます。 弦楽アンサンブルがとにかくしっかりとしていて、このあとも緻密に組み合わさった幻想的なフーガも見事でした。 コーダに入ってホルンの柔らかな響きが素敵、落ち着いてこの楽章を終了しました。

第3楽章、溌剌としたスケルツォ、意気揚々とした木管楽器、ティムパニは先が赤になったマレットで畳み掛けるように打ち、リズムに乗せて盛り上がります。 このあとテンポをぐっと落として緩急を大きくつけました。 艶やかな弦楽器、高らかに拭くトランペット、ここではティムパニは白のマレットに持ち替えて重たい響きとしていました。 一転して元の旋律に戻して軽やかに。 そしてまたトリオに戻してと、きちっきちっと決めながら曲を進めて、最後も端正にまとめてこの楽章を終えました。

第4楽章、安野さんの手が下りず、そのまま息を合わせて終楽章に突入。 キレの良いトランペット、まろやかに響くホルンが左右より響きますが主役は弦、中央から力の入った弦楽器が推進力を持って音楽を進めています。 打ち付けるようなリズム、タイトでキレのいい演奏はややテンポが速めかしら。 金関さんもエンジン全開でしょうか、すごい速さで弾いてますね。 すっと音量さがって、木管アンサンブルで一息ついてから、また打ち付けるようなリズム。 怒涛のように音が流れてきます。 でも安野さん、コンパクトに振って拍をきちっととり、決して煽ってなどいなくて、オケが一丸となって進めてゆく音楽の手綱をしっかりと握ってます。 コーダ、高らかに吹くトランペット、ホルンの斉奏もバッチリと決め、最後は開放的に輝かしく響き渡らせたのち、カッコよく着地を決めて全曲を閉じました。
ストレートで熱い音楽に大きな拍手を贈りました。

「暑い日の熱い音楽」カーテンコールのときに指揮者の安野さんが言われた言葉どおりの演奏会でした。
そして「デザート」と呼ばれるアンコール曲となったピチカート・ポルカのまた美味しかったこと。 安野さん、わざとタメを作って客席を見て、くすっと笑いをとったりもして、サービス満点。 熱いメインディッシュからのお口直しもバッチリと決めていました。 そして最後は恒例のラデツキーマーチで足取り軽くさせてのお見送り。 今回もまたいい演奏会でした。