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吹田市交響楽団 第69回定期演奏会

余裕を感じさせる素晴らしい集中力戻る


吹田市交響楽団 第69回定期演奏会
2010年9月18日(土) 18:00 吹田市文化会館メイシアター・大ホール

フンパーディンク: 「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲 (*)
モーツァルト: 交響曲第39番変ホ長調 (*)
ショスタコーヴィチ: 交響曲第9番変変ホ長調 op.70
(アンコール)ショスタコーヴィチ: 「ジャズ組曲」より第2ワルツ

指揮: 米山 信(*)、新谷 武


一筋縄ではいかないショスターコヴィチの交響曲。 15曲ある彼の交響曲の中で最も軽妙洒脱、耳馴染みのしやすい交響曲第9番。 新谷さんのいつもながらの意欲的な指揮に、オーケストラも余裕を感じさせる素晴らしい集中力で応えた演奏に満足しました。

ショスターコーヴィチの交響曲第9番。 第2次世界大戦の戦勝と、ベートーヴェンの第9になぞられ、ショスタコーヴィチの第9と期待された音楽でしたが、簡素でおどけたような音楽であった、ソ連当局よりスターリンを揶揄したとも受け止められた問題作です。 あまり一般には演奏されることのない曲でしょうが、個人的にはとても好きな曲で、これまでにプロオケで2度ほど聴いた記憶はありますが、いずれも10年程前になります。 久しぶりに聴きたくて、吹田に足を伸ばしました。

指揮者の新谷さん、いつもながらの大きな身振りと感情を込めた動きの意欲的な指揮。 オケもこの指揮によく応えていました。 観客には聴きやすいこの音楽も、演じる側にとっては難関ではないでしょうか。 演奏される音楽の底に裏が一枚も二枚もあるような感じもよく表現されていたように感じました。 金管の重量感もさることながら、木管楽器が大健闘でした。 深い音色のクラリネット、渋い響きのフルートが良かったし、最後のファゴットの響きも素晴らしいものでした。

また弦楽器も、第1楽章でのヴァイオリンのソロのやわらかな響き。 第2楽章では低弦のピチカートが深遠さをよく出していました。 素晴らしい集中力です。 とにかく重心のある弦楽器の響きが演奏のベースになっているので、この曲が垣間見せる深遠さをよく表現できたのではないか、と思いました。 だからこそ、小馬鹿にしたような軽妙なソロもまた引立っていたのでしょう。 とにかく久々の実演、十二分に満足できた演奏でした。

なおこれに先立って演奏されたフンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲と、モーツァルトの交響曲第39番。 こちらは米山さんの省エネ・スタイルのいつもの指揮のもと、ちょっと落としたテンポによって、丁寧に繋いだ演奏でした。 ともにやわらかなホルンの響きがよかったですね。 そして軽やかなティムパニの好演が光っていました。 あとモーツァルトではタイミングよく打つトランペットが曲を引き締めていました。 ただ正直、モーツァルトでの高音弦が少々生煮えのような感じで、やはり難しいなぁ、と思っていましたけれど。

とにかく今回はショスタコーヴィチの素晴らしい演奏に大満足した演奏会でした。 皆さんお疲れさまでした。