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モーニングフィルハーモニー管弦楽団 第3回演奏会

土曜朝から打ちのめされました戻る


モーニングフィルハーモニー管弦楽団 第3回演奏会
2011年5月7日(土) 10:15 杉並公会堂・大ホール

マーラー: 交響曲第5番

指揮:小柳英之


午前中に演奏会を行っているモーニングフィルの演奏会があることを知り、杉並公会堂へ行ってきました。

モーニングフィルは、昨年3月に結成され、5月4日に合奏練習わずか4回でマーラーの交響曲第9番を演奏され、その後も12月29日にマーラーの交響曲第7番を演奏されているそうです。 練習回数を少なくすることで、集中力を高めるとともに財政的な負担の軽減にもなるとのこと。 また午後はフリーになるので、他のオケと掛け持ちも可能になるメリットがあるそうですが、かえって技量の高いメンバーが集まっていることに結びついているのだと、思いました。

冒頭のトランペットも素晴らしかったし、ホルンの力強さも特筆したいと思います。 また、コントラバス・トップ奏者の方の気持ちの乗った演奏が印象的でした。 ゲネプロを入れてもわずか4回の練習だそうですが、ほとんどノーミス。 時には少々荒れそうになったようにも思いましたが、熱気と気迫ある演奏に、土曜朝から打ちのめされました。

このような取り組みが続いて下さることを願っています。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

関西に在住していたころには年間40公演を超えるアマチュア・オーケストラの演奏会に通っていましたが・・・ 単身赴任によって東京に在住するようになって、演奏会とも縁遠くなってしまいました。

ひょんなことから知ったモーニングフィル。 朝から演奏会をされるなんて、いい企画ですね。
しかもマーラーの交響曲第5番、1曲のみのプログラムにも惹かれました。 最近、夜が遅いのと、時間が長いのがしんどくなってきてます。 単に年取った証拠なんですが・・・

10時開場、10時15分開演となってますが、開場5分前に到着。 列に並びましたが、開場後すぐに3階席(最上階)の1列目中央に陣取るのは、どこのホールでも同じです。 周りを見渡すと、お客さんには若い人が多い感じですし、あと中年男性も多いのはオケ関係者の方が多いのかもしれませんね。 中年女性が少ないのが特徴かもしれません(オペラ関連では間逆なのですけどね)。

さて入場後、ステージでは談笑とともに練習されている方もいらっしゃいましたけれど、三々五々引き上げられ、定刻1分前にはステージには誰も居なくなり、10時15分のチャイムとともに整列入場となりました。 しかし、アナウンスはありません。 もっとも会場には看板もなく、パンフレットもありません。 ひたすらに音楽を演奏することに集中する、そんな感じです。

定刻となり、拍手とともに指揮者の小柳さんが登場。 少々ぎこちなくコンマスと握手をして一礼して指揮台に登壇。 オケの皆さんにも軽く会釈をして始まります。

第1楽章、冒頭のトランペットのソロから技量の高さがよく出ていましたね。 伸びやかで深みも備わったトランペットの響きに惹き込まれていたら、強靭なオーケストラの響きで打ちのめされました。 力強くストレートに迫ってくる、そんな感じ。 指揮者の小柳さんのハナ息でまたトランペットのソロが戻ってきました。 トロンボーンのハリのある響きもいいですね。 弦の合奏も見事ですが、もうちょっと粘り気が欲しい気がするのは欲張りというものでしょうか。 チューバが異様に大きな響きで迫ってきたのには驚きましたが、ちょっとバランス悪かったのでしょうか。 この場面以外では気にはなりませんでした。 小柳さん、変な特徴をつけることなく、きっちりと曲を仕上げてゆくような感じでした。

第2楽章、アタッカで入って一気呵成に進みます。 若さみなぎってます。 聴いているこちらもようやく落ち着いてきて、オケの中を観察する余裕も出てきましたが、コントラバスの主席の方、気持ち入ってますね。 指揮者、ときにはオケの他の弦奏者を見ながら、大きな身体を使って弾いておられ、低弦がひとつに纏まって聴こえてきます。 ややもすると、落ち着いて綺麗だけれども、抑揚が少なく聴こえる弦合奏の底辺を見事に支えているようでした。 管打楽器はここでも大熱演。 ぐっと盛り上がったあと、すっと潮が引くようにゆっくりとした着地でした。

第3楽章、小柳さんが指揮台より降りて汗を拭い、少々インターヴァルをとってから再開。 冒頭のホルンの勇壮な響きにハリと深さがあって素晴らしい。 中低弦が躍動的なのもいいですね。 管楽器はここでも大熱演。 相変わらずホルンが要所でいい音出していますし、オーボエ、ピッコロといった楽器もいいですね。 でも全般的に少々疲れが出てきたのでしょうか、明らかに音を外すとかの事故ではなく、やや雑然と聴こえた場面もあったように思いました。 終盤、力強い金管に木管楽器の皆さんも熱演で応えていましたが、ここはちょっと絶叫調にも聴こえたりも。 でも素晴らしいですよ。 よく纏まった最後は、オケの響きを残すようにした着地。 よかったですよ。
小柳さんが指揮台から降りると、チューニングを実施。 やはり少々音が荒れていたようでしたね。

第4楽章、小柳さんがヴィオラに向かって一振り、やや明るめの響きで音楽が進みます。 丁寧に、ゆっくりと、ひたすらに美しさを求めてゆく、そんな感じでしょうか。 余計なタメを作らず、少々淡々とした感じですが、ためらいや迷いといったものを感じさせない若さが出ているのだと解釈しました。 静かに盛り上がってゆきます。 ここでもコントラバスの熱演が光っていました。

第5楽章、アタッカで入ります。 ホルンの響き、そしてここではファゴットもいい味出てました。 落ち着いたインテンポで徐々に盛り上がり、ホルンの斉奏の力強いこと。 ティムパニのロールも変わらずハリがあって芯になっています。 金管ファンファーレが本当に見事。 その熱気のせいか、高音弦も少し熱くなってきたでしょうか。 バストロンボーンの力みなぎった響き。 ホルンがベルアップして大きく盛り上がったのを、さっと翻し、ちょっとおどけたような木管。 そしてフィナーレへ一直線に勇ましく進みます。 行進曲ですね。 最後、小柳さんがかがんで抑えたあと、両手を高々と上げて弾けた終結。 気迫の篭った見事な演奏に、会場内よりブラボーが多数飛びました。

ここでも少々ぎこちなくいったんステージ袖に戻ってから、再登場。 深々と礼をすると、オケの皆さんも礼をして頭を下げてのお開き。 あとは同じセクションのオケメンバーの方々と握手、談笑をされて、演奏会の成功を祝っておられました。 全力でぶつかった感があって、清々しさの残る良い演奏会でした。

このような取り組みが続いて下さることを願っています。