BQクラシックス My Best Quality Classical Music Site 〜 堅苦しいと思われがちなクラシック音楽を、廉価盤レコード(LP)、CD、アマチュアオーケストラ(ブログ「アマオケ大好き、クラシック大好き」)などで気軽に楽しんでいます。
TOP演奏会感想文廉価LPコンサートホールLP廉価CD資料室掲示板
奈良女子大学管弦楽団 第42回定期演奏会

スペクタクル感のある素晴らしいドヴォルザーク5番戻る


2012年12月16日(日) 13:30開演(12:30開場)
文化パルク城陽・プラムホール

ニコライ:喜歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」-*
ドヴォルザーク:アメリカ組曲 -*
ドヴォルザーク:交響曲第5番
(アンコール)チャイコフスキー:くるみ割り人形より「トレパーク」

指揮:柴 愛(副指揮者) -*、牧村邦彦(常任)


柴愛さんによる2曲も良かったけれど、牧村さんが指揮されると響きにキレと余裕が生まれるから不思議です。 演奏者は決して余裕など無いと思いますけれど、堂々としたフィナーレで決めたドヴォルザークの交響曲第5番は本当に素晴らしかった。 会場からも大きな拍手で包まれていました。

プログラムには書かれていなかったし、事前のチラシなどにも書かれていなかったと思いますが、指揮者として柴愛さんが登場。 あっ・そ〜なん、と軽い驚きをはらみつつ「ウィンザーの陽気な女房たち」が柔らかな響きによって演奏会は始まりました。

冒頭こそ手探り感が否めませんでしたが、主部となって音楽が流れだすとエンジンがかかった感じ。 抑揚を大きくつつ音楽を流して進めていましたが、柴愛さんの動きも少々機械仕掛けの人形みたいかな。 きちっと纏めた、そんな印象でした。

ドヴォルザークの「アメリカ組曲」も柴愛さんが登場。 縦の線をきちんと揃えた演奏ながら、懐かしさの中に華やかさや若い息吹も感じさせ、なかなかの好演でした。 第1楽章より媚びない端正な響きのフルート、凜としたオーボエが応えて、その後もクラリネット、ファゴットが響きを合わせる木管アンサンブルが良かったですね。 そして、終始先の細いマレットでコンパクトに打っていたティムパニも特筆しておきたいな。 オーケストラ全体もきちっと纏まっていながらも、若いオケ特有の刺激的な響きは出さず、瑞々しい響きに終始していたのが良かったなぁ。

15分の休憩を挟み、常任指揮者の牧村さんがにこやかに登場。 一礼のあと、さっと指揮台に登って一振りされたらオケの響きが違って吃驚。 まず音量が違いますけれど、これは集中力の差と解釈しました。 第1楽章冒頭のクラリネットの艶やかな歌。 牧村さん、背筋をピンと伸ばした少ない身体の動きながら、要所で力をグイっと込め、演奏を締め上げながら曲を進めて行くのに見惚れました。 風格すら感じるような曲の運び。 オケもそれによく応えて見事。 第1楽章終結部も開放的に鳴らした金管もすぐに締め、そっと曲を閉じるなど余裕すら感じられました。

第2楽章や第3楽章の冒頭こそノリ切れていない感じもありましたけれど、牧村さんは一転して大きく動いてオケを統率。 きちんと建て直してチャーミングに響かせて、弦と管の受け渡しも見事。 牧村さん、中低弦に終始配慮を払っていて、明るいオケの響きながら4本のコントラバスをきちんと鳴らせているので安定しているし、中音弦の厚みも増して(充分ではないけど)温かみのあるサウンド。 そして何よりきちんとコントロールされたノリの良さ、場面転換のキレ。 打点を明確にしていることもありますが、スペクタクル感のある素晴らしい演奏として全曲を締めたのに感動しました。

隠れた名曲ドヴォルザークの交響曲第5番、この素晴らしい演奏をプラムホールで共有できた皆さんは名曲である由縁を認識されたのではないでしょうか。 この曲を聴きたくてやってきましたが、大正解でした。 演奏された皆さん、有難うございました。

 ●

蛇足ですが、いつもの奈良県文化会館国際ホールより京都府城陽市に遠征した今回の定期演奏会。 会場となった文化パルク城陽・プラムホールは初めて行くホールでしたが、座席の幅や足元も充分で座り心地も良く、いいホールでした。

またこの文化パルク城陽を事前に調べてみたら、図書館やプラネタリュームも備えた施設。 11時開演のプラネタリュームを先に鑑賞しましたが、「銀河鉄道の夜」の映画もまたなかなか秀逸な作品でした。 そしてレストランでの昼食、ちょっと混んでいましたけど、丁寧に作られた料理はお値段以上でしょう(少なくとも冷凍やレトルトではないお料理です)。 更に今回、地下でフリーマーケットもやっていて、良いお買物もすることが出来ました。

たっぷりと楽しめて、いい時間を過ごすことができました。


以下、未稿