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大阪市民管弦楽団 第78回定期演奏会

アンコールが無しが感動をより大きくさせた戻る


日時:2013年9月15日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:ザ・シンフォニーホール

曲目:外山雄三/管弦楽のためのラプソディ
   シベリウス/交響曲第3番
   フランク/交響曲ニ短調

指揮:小田野宏之


フランクの交響曲ニ短調、これまで暗い曲なのでどちらかと言うと敬遠しがちな曲でしたけれど、緻密に組み立てられた曲なのですね。 これを終始落ち着いて淀みのない演奏としつつも覇気にも満ちた演奏に印象を変えました。 そして何より輝かしいフィナーレ、心動かされました。 そしてアンコール無し。 循環形式で現れる主題がいつまでも耳を離れない、素晴しい演奏会となりました。
会場を後にされる年配のご婦人方も、美しいメロディの曲でよかったわ、と口々に言われていたのを付記しておきます。
会場のシンフォニーホールのステージには、コントラバス9本、チェロ11本が並んでいたのが壮観でした。 張りのある低弦の響きが、終始どの曲も支えてたのが印象的でしたけれど、フランクはもとよりシベリウスの交響曲第3番でその真価が発揮されていたように感じました。 冒頭の激しくも豊かな響きよりたちまち惹き込まれました。 指揮者の小田野さん、渡邉暁雄さんに師事されていたそうで、立ち居地をほとんど変えない明快な指揮。 オケもよくついてエネルギッシュでありながらも、人間味というとちょっと変ですが、言葉にならないじわじわっとするものを随所に感じさせた弦楽アンサンブルが見事でした。 隠れた名曲ともいえる第3番、その魅力が存分に発揮されていたのではないでしょうか。
そして外山雄三のラプソディ、アンコールピースを演奏会冒頭にぶつけ、いきなり会場内の空気を和ませました。 知っているメロディが随所に織り込まれ、拍子木の響きがホールを引き裂いた場面転換などなど、現代日本の名曲の紹介といった感じ。 勢いよく演奏されて、あとの2曲に繋ぎました。
ちょっと渋めの曲が並んでいて、オケの底力が確認できる演奏会ではないでしょうか・・・と先に書いていましたけれど、その底力を充分に堪能させていただきました。 そして繰り返しになりますが、アンコールが無かったのが感動をより大きくさせたと思います。 輝かしいあのフィナーレの後には感動以外何も要りません。 素晴しい演奏を有難うございました。 そして皆さんお疲れさまでした。


簡単に演奏会を振り返ってみたいと思います。

台風18号接近中、明け方には豪雨があったものの朝には陽射しも出ていました。 演奏会は無事開催されそうな感じ。 用事もあったので雨の降っていない10時すぎに家を出て、他の用事で先に外に出ていた長男とは12時に福島で合流。 小雨となっていました。 まず眠眠で腹ごしらえをし、いざシンフォニーホールへ出陣。 座席引換えで「できれば2階席」と遠慮して言うと、整理係りのお兄さんが窓口の中のチケット係りに人にオウム返しのように「できれば2階席」と言うではありませんか。 普通「2階席ありますか」とかね、言い方変えるでしょ・・・こっちは遠慮して言っているのにと少々バカにされた嫌な気分となりましたが・・・出てきた席がAA−27・28。 おおっ、2階席最前列の中央じゃないですか。 会社の同僚が、このオケの団長を10年以上前にやっていたとき、招待客用の席として別枠にしている、と言っていた並びですね(何度かそこにも座らせてもらいました)。 これで許しましょう。

開場とともにホールに入りますと、コントラバス奏者の方2名が出ていて練習中。 聴いていると馴染みのメロディが・・・ マーラーの交響曲第1番第3楽章の冒頭の部分をソロと伴奏で演奏されてました。 我が長男、バンドではエレキベースを弾いているので、その事を伝えると興味深そうに見てましたね。 当方はその音を聴きながらしばし爆睡(少々お疲れなのです)。 開演10分程前、会場内がざわついてきて目覚めました(ほんと良く寝ました・・・体調万全です)。 目覚めるとコントラバス軍団はほとんど揃っていて、開演5分ほど前になると他のメンバーの方もセクション毎に自由入場として席につきます。 オケは通常配置で 13-11-11-11-9 のようです。 中低弦が分厚いのが老舗アマオケらしさでしょうか。 コンミスが拍手とともに登場して客席にむかって一礼。 チューニングを開始すると客席が暗転となります。 準備完了。 指揮者の小田野さんが上半身をピンと伸ばしてスタスタと歩いて出てこられました。 コンミスと握手。 登壇して客席に深々と一礼ののちオケの方を向き、いよいよ始まります。

外山雄三の「管弦楽のためのラプソディ」、アンコールピースを演奏会冒頭にぶつけ、いきなり会場内の空気を和ませました。 知っているメロディが随所に織り込まれ、拍子木の響きがホールを引き裂いた場面転換などなど、ある種現代日本の名曲の紹介といった感じ。 勢いよく演奏されていました。

金管メンバーが打ち鳴らす小さな拍子木が小気味良く会場内を引き付けます。 鐘の音に続いて和太鼓の連打ですが、ここでバチを1本落としてしまう事故がありながらも見事に乗り切って、あんたがたどこさ、の手まり歌へ。 分厚い弦の響きに管楽器の吹奏、力強いコントラバスのピチカートを織り交ぜながら進みます。
緩の部分となって、フルートの味わい深い音色がよかったですね。 温ったかくて。 弦楽器もしみじみとさせました。
そしてステージ中央奥のティムパニ奏者の方が拍子木を両手を左右に大きく広げて打つ響きがホール内を引き裂いてから、よぉ〜の掛け声が入って鐘・太鼓に続き、お馴染みの八木節のメロディを力強く吹奏して盛り上げます。 最高潮に達したのを小田野さんが右腕を大きく回して止めました。
この曲、クラシック音楽を聴き始めた中学生の頃、同級生より借りたレコードで聴いて衝撃を受けてからのお気に入りなのでかれこれ40年ですか・・・、こうやって聴いてみるとなかなか難しい曲ですね。 全奏になるとちょっと捉えどころが無くなってしまいますものね。 わっ〜と演奏して勢いはあればOKって感じでしょうか。

管楽器メンバーの一部が入れ替わり、パーカッションメンバーも退場しました。 コンミスがチューニングを行って準備完了。 小田野さんが登場されて始まります。

シベリウスの交響曲第3番、ステージ上に並んだコントラバス9本、チェロ11本が壮観で、これより奏でられた張りのある低弦の響き。 第1楽章の冒頭より激しくも豊かな響きにたちまち惹き込まれました。 指揮者の小田野さん、渡邉暁雄さんに師事されていたそうで、立ち居地をほとんど変えない明快な指揮。 オケもエネルギッシュでありながらも、人間味というとちょっと変ですが、随所に言葉にならないじわじわっとするものを感じさせたアンサンブルで応えて見事でした。 隠れた名曲ともいえる第3番の魅力が存分に発揮されていたのではないでしょうか。

第1楽章、小田野さんがチェロの方を向いて一振り、力強くも豊かでコクのある低弦の響きが出てきました。 素晴しい。 高音弦もまた厚い響きながら透明感を持って応えます。 ティムパニの重い響きに渋い金管、冒頭より充実した演奏に惹き込まれました。 小田野さんの明快な棒、小さく振り分けながらオケをリード。 太いコントラバスの響きをベースにした弦楽アンサンブルがよく纏まっています。 木管ソロも滋味ある響き。 ティムパニは思い切り良くも重たくズシっとくる打音がいいですね。 力強いトロンボーンで熱くなりました。 弾力あるピチカート。 一呼吸置いてから、たっぷりとしたフィナーレ。 ひたむきさがあって、見事でした。

第2楽章、ホルンとティムパニの落ち着いた響きによる開始。 フルートがまた柔らかくてよかったですね。 ピチカートがズンズンと響いてフルートを際立たせます。 これに絡んだクラリネットも良く似た音色でバッチリ。 滋味で艶のある弦楽アンサンブルがいいですね。 先日聴いた紫苑交響楽団の弦サンサンブルは技巧的でしたけれど、市民管の弦は人間味というとちょっと変ですが、随所に言葉にならないじわじわっとするものが心に届く感じ。 木管アンサンブルもまた落ち着いて響きを合わせていいですね。 オーボエとフルートの奏者の方が同じように左右に揺れながらの演奏もしみじみとさせて素適。 情感あふれるピチカートに重い打音のティムパニ、コントラバス9本の響きに演奏が少々熱気をはらんでこの楽章を終えました。

第3楽章、先の楽章と一転した明るい響き、オーボエの音色も綺麗ですね。 高音弦に艶と力があって、木管と呼応。 続いて木管がホルンと呼応し、ぐいぐいと力を増して、タイトな響きのホルン斉奏。 コントラバスの底鳴り、チェロの明快で引き締まった響き、そして高音弦も力強く張りのある響きによるスケルツォですが、単に力で押しているのではなく、情感がこもっているのに惹かれます。 そしてエネルギッシュなフィナーレ、ホルンの斉奏は落着いた響きながらも覇気が籠もりました。 小田野さん立ち居地をほとんど変えず、明快な棒より堂々とした晴れやかな響きをオケのより導き出しての総力戦でのエンディング。 右腕をぐいっと回して掬い上げるように纏めると、ホールに残響が残りました。 あまり演奏されない交響曲第3番、隠れた名曲、その魅力が存分に発揮されていたように感じました。

20分間の休憩。 一人ではまず行かないラウンジも長男を連れているので、コーヒーとアイスクリームを注文してしばし休憩とします。 ここのアイスクリームは長男が小学生の頃からのお気に入りなのですね。 トイレにも行き、体調整えて後半戦に臨みます。
座席に戻るとすでにコントラバス軍団と管楽器メンバーは着席、他の弦楽器のメンバーが順次自由入場で着席するところ。 コンサートマスター席には、男性コンマスが陣取っていました。 全員が着席すると、男性コンマスが立ち上がってチューニングを指示。 客席が暗転します。 準備完了。 小田野さんがスタスタと歩いて登場し、そのまま登壇して客席に深々とお辞儀をしてから開始となります。

フランクの交響曲ニ短調、これまで暗い曲なのでどちらかと言うと敬遠しがちな曲でしたけれど、緻密に組み立てられた曲なのですね。 これを終始落ち着いて淀みのない演奏としつつも覇気にも満ちた演奏に印象を変えました。 そして何より輝かしいフィナーレ、ここに心動かされました。 オケの底力が確認できる演奏会ではないでしょうか・・・と先に書いていましたけれど、その底力を充分に堪能させていただきました。 そしてアンコールが無かったのも感動をより大きくさせたと思います。 循環形式で現れる主題がいつまでも耳を離れない、素晴しい演奏でした。

第1楽章、重量感のある弦の響き、張りもあります。 管楽器が入って少々明るくなり、ヴァイオリンの響きがしっとりと奏でます。 上々の滑り出し。 チェロのトレモロで心にざわつきを感じさせて、渋いホルンの響き、コントラバスの重い響きに彩られて良い感じ。 小田野さんがぐいっと振って波打つようなピークを形成。 ティムパニの打音が強烈。 ぐっと溜めてから再度ピーク。 トロンボーンとチューバの響きがまたよかったですね。 低弦とティムパニに隠れ気味になるヴァイオリンも奮闘。 小田野さんが終始ヴァイオリンに力を込めていました。 質実としたホルン、凜として艶のあるオーボエ、フルートは煌くような感じとして曲を彩り、またもやエネルギッシュとなっては、また落ち着いて。 これを繰り返し、堂々とかつ覇気をもって曲が進んでゆきます。 最後の最後は充分に感動的なフィナーレとして、小田野さんが腕を大きく丸あるく振って止めました。

第2楽章、弾むピチカートとハープの響きが重なって息づいています。 コールアングレのソロがいい音色でしみじみとさせて見事。 ヴィオラの旋律も重なってくるのですね。 ホルンが艶のある響き、チェロに受け継いで、有機的なアンサンブルが展開されました。 最後の最後にちょっと息切れしたみたいですけれど。 ヴァイオリンのアンサンブルがこれを引継いで十分に熱くなります。 コールアングレが戻ってきました。 2階席の最前列よりオケを見下ろしているので、各弦楽パートが弾き分けられているのがよく判って勉強になりますね。 その弦パート、特に第1・第2ヴァイオリンの弾き分けなどは対向配置で聴いたならまた印象違うかな、とか思ってみたり。 とにかく艶やかな旋律を目と耳で追いかけてゆき、ゆったりたっぷりとした盛り上がりのあと、ハープ音を伴って静かにこの楽章を終えました。

第3楽章、覇気あるヴァイオリンがちょっと明るく響いた開始に驚きました。 もっと暗い曲のイメージだったので。 チェロの旋律も明るくて、このような解釈なのでしょう。 金管が華やかに吹き、タイトなティムパニが締め上げます。 嵐が収まり、ゆったりと吹くトランペット、ヴァイオリンも大きく呼吸するよう。 低弦も力をこめてゆったりと弾きます。 コールアングレが第2楽章の旋律を戻し、第1楽章の旋律も戻ってくる循環形式。 金管が高らかに吹奏すると、小田野さんが大きく丸く振って、これまでの楽章よりも明るい響きです。 弦楽器だけとなって、これも上から見ていると、各パートが弾き分けているようです。 対向配置で聴いたなら印象違うかなとまた思っていると、ハープの太い響き。 じっくりと腰を落としてから、今度はぐいぐいと昇ってゆくフィナーレ。 華やかな響きながら重心が低く安定した演奏、淀みなく高らかに歌い上げたのを、小田野さんの棒がケレン味なく振り切りました。

感動的で素晴しい幕切れに心動かされました。 この曲がこんなにも緻密でかつ美しいとは、初めての経験となりました。 またアンコールが無かったのも良かった。 循環形式で現れる主題がいつまでも耳を離れない、素晴しい演奏会となりました。 エスカレータで客席からホールエントランスに降りるとき、年配のご婦人方も、美しいメロディの曲でよかったわ、と口々に言われていたのを付記しておきます。 また長男が言うには循環形式が面白くてメロディが出てくるとも。 とにかくあの輝かしいフィナーレの後にはあの感動以外何も要りません。 素晴しい演奏を有難うございました。 そして演奏された皆さんお疲れさまでした。