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アンサンブル・フリー 第23回演奏会

感じ入ることの多かった演奏会戻る


日時:2016年5月22日(日) 13:30開演(13:00開場)
場所:尼崎市総合文化センター・あましんアルカイックホール

曲目:三好真亜沙/天泣 (2012)
   マーラー/交響曲第10番より アダージョ
   助川 舞/溟渤を織る星の糸 (2015年改訂版)  [Ensemble Free 委嘱作品・関西初演]
   シベリウス/交響曲第7番
(アンコール)失念

指揮:浅野亮介


久しぶりのアンサンブル・フリーの演奏会、邦人若手作曲家の作品も採り上げられるようになって初めて伺いましたが、とても感じ入ることの多かった演奏会を楽しみました。

個人的には、助川舞さんの「溟渤を織る星の糸」という曲が大変面白かった。 厳かな開始、何かを予感させる音楽が、時に激しくもあり、厳粛な音空間の拡がり。 12星座の明度、大きさ、距離、位置などを数値化されて作曲されたことも影響しているのでしょうね。 短い曲ながら無限の拡がりも感じた作品でしたね。

冒頭に演奏された三好真亜沙さんの「天泣」は現代音楽らしく打楽器奏者4人が色々な楽器を奏でて緊張感を高めたりもしましたが爽やかで綺麗な響きが特徴的だったかな。 纏まりの良さなど、さすが賞を得た作品といった感じも受けました。 その分、当方のインスピレーションもあまり拡がらなかったかな、といった感じ。 言われているように再演を繰り返すことで成長する作品ではあるように感じましたので、また聴く機会があれば印象も変わっているかもしれませんね。

さて2012年の第14回演奏会でのマーラーの交響曲第3番以来、浅野さんの指揮を拝見しましたけれど、変わっていないなぁ、という印象。 細かく拍を刻んだり指示を出したりせず、大づかみのイメージを両腕で表現するスタイルながら、きちんとよく考えられた音楽が湧き出てきます。 練習ではオケに相当に意図を伝えているのでしょうね。 十分に練り上げたものを本番に提供してくださっている感じ。

マーラーの交響曲第10番のアダージョ、落着いた音色でオケの響きが綿々と流れてゆく。 自然な減衰とピークの形成ながら、しっかりと心を捉えて離なさない見事な演奏でしたね。 この曲、正直なところあまり真剣に聴いたことがなかった、というかイマイチ捉えどころが分からなかったのだけれど、素直にいい曲やな、と思えた次第。 第9番の終楽章がアダージョで終わり、第10番となった新しい交響曲の世界の始まりもアダージョ。 その関連性にもちょっと心が動いたりもしました。

そしてシベリウスの最後の交響曲第7番、うまく表現できませんがシベリウスらしい響きで色々なものが混然一体となっていった感じ。 中低弦のアンサンブルが落ち着いた響きであったのと、ティムパニも深く柔らかな打音が素敵でした。 大自然の響きを耳にしているような交響曲の演奏でした。 どことなく助川さんの作品に通じるものがあるような気もしました。

単身赴任より戻って早や3年が経過、長らくご無沙汰してしまいましたが、また機会が合えば浅野さんとアンサンブル・フリーの演奏会を聴いて刺激を受けたいな、と思った次第です。
とても面白い演奏会を有難うございました。 そして皆さんお疲れさまでした。



以下、未稿