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京都フィロムジカ管弦楽団 第39回定期演奏会

普段耳にすることのない京都フィロムジカらしい拘りと気鋭の演奏会戻る


日時:2016年6月26日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:八幡市文化センター・大ホール

曲目:諸井三郎/こどものための小交響曲(シンフォニエッタ)
   シベリウス/ヴァイオリン協奏曲(初稿版)
(アンコール)ヴュッチェイ/前奏曲とフーガより前奏曲
   ブゾーニ/交響的組曲
(アンコール)ブラームス/ハンガリー舞曲第15番

独奏:馬渕 清香(vn)

指揮:山本貴嗣


アンコールに至るまで普段耳にすることのない京都フィロムジカらしい拘りと気鋭の演奏会を楽しみました。

中でもシベリウスのヴァイオリン協奏曲の初稿版、第1楽章ではカデンツァが2つもあって驚きました。 しかもその後者はバッハへのオマージュのようでいて、馬淵清香さんの入魂の演奏に会場内が静まりかえっていました。 この初稿版、実はCDを持っていたことに演奏後に気づいた、そんなテイタラクな当方ですけれど、第1楽章はやや冗長な感じも受け、オーケストレーションもまた混沌としてるなぁなどと感じましたが、シベリウスファンにとってはこれこそシベリウスの世界といった感じなのでしょうね。 当方は耳慣れたフレーズが出てきても、アレェこんな感じやったかな〜などとなんとなく路頭に迷った気分であったことを白状します。 馬淵さんは譜面台を置いての演奏、冒頭こそやや音量が小さいかなと感じましたけれど、次第に熱くなってきた感じ。 先にも書いたようにキレの良い演奏をしていました。
アンコールはヴァイオリン協奏曲の初演者?(うまく聞き取れませんでした)による前奏曲、こちらは実に堂々たる恰幅の良い演奏でした。

さて京都フィロムジカでは2年に1度は採り上げられるという邦人作曲家の作品、諸井三郎のこどものための小交響曲もまた初めて耳にする曲。 しっかりとした構成感を持ち、オーソドックスな感じで聴きやすく纏められていました。 新古典主義の作品でしょうね、第3楽章では管楽器が和楽器のような音色だったのが印象に残りました。 オケは2管のすっきりした編成ながら、弦楽器構成が 10-10-9-10-6 で低弦が厚いのが特徴的。 これは単に低弦をゴリゴリと響かせるのではなく、すっきりと纏まったサウンドで奥行きを深く取った感じでした。 ベルリンで研鑚を積まれてベートーヴェンに心酔されていた氏らしさを感じさせるサウンドだったと思います。

メイン・プログラムはブゾーニが16歳の作品である交響的組曲。 この曲も初めて耳にした曲ながら、きっちりと最後まで飽きさせることなく紹介していただきました。 冒頭は厳かなバッハ風の前奏曲、管と弦の響きの重なり方、このオケの各パートの纏まりの良さによって面白く聴かせてもらいました。 この曲もまた新古典主義の作品でしょうね、よく訓練されたオケの響きを指揮者の山本さんがしっかりと推進させてゆく見通しの良い音楽。 プロコフィエフの古典交響曲のように簡単に聴かせながらも、色々な仕掛けが潜んでいる感じ。 うまく表現できませんが・・・ そして終曲、ここでは底力を感じさせる重厚なサウンドでのフーガ。 タイトな金管も相俟って弱冠16歳の音楽とは思えない恰幅の良さで、なんとなくエルガーのエニグマ変奏曲も想起させられて、聴き手の気分も高揚させ、聴き応え十分のフィレーレへと結びつけて会場より大きな拍手が湧きあがりました。

そしてアンコールは指揮者の山本さんが京都フィロムジカらしくと言われたハンガリー舞曲第15番。 CDは持っていても滅多に聴く機会のない作品で、こんな曲やったんか、と気付かされて、こちらも完全に京都フィロムジカの思う壺でしたね。 見事な演奏で最後まで楽しませて頂きました。 皆さんお疲れさまでした。



以下、未稿