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天理シティーオーケストラ 第16回定期演奏会

とても濃いぃ内容の演奏会、聴き応え十分戻る


日時:2016年7月10日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:天理市民会館やまのべホール

曲目:ムソルグスキー/交響詩「はげ山の一夜」
   チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
   チャイコフスキー/交響曲第4番
(アンコール)ハチャトリアン/「仮面舞踏会」よりワルツ
(アンコール)J.シュトラウス/ラデツキー行進曲

独奏:吉田 南(vn)

指揮:安野英之(常任)


天理のオケでは珍しいロシア音楽プログラム。 注目はなんといっても天理出身の弱冠18歳、現役高校3年生ながらモントリオール国際コンクールで最年少で3位入賞という溢れんばかりの若い才能を感じさせた吉田南さんに圧倒されたチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。 そして交響曲第4番終楽章で爽快なエネルギーが放出された煌びやかな演奏のあと、アンコールの仮面舞踏会のワルツによる濃厚な締めくくり。 とても濃いぃ内容の演奏会でしたが、聴き応え十分、ほぼ満席となった会場やまのべホールのお客さんも大満足の演奏会でした。

オケの弦楽器は対向配置による 8-8-6-5-4 といったコンパクトな編成。 管楽器は横列2に並び中央に木管楽器、両端に金管楽器(向かって右前列にトランペット、右後列にはトロンボーンとチューバ。 向かって左側にホルン)。 打楽器は第2ヴァイオリンとヴィオラの後ろで、向かって左奥のコントラバスと対向する感じ。

この配置の効果をよく出していたムソルグスキーの交響詩「はげ山の一夜」から演奏会はスタート。 弦楽器の少なさもあってタイトでコンパクト、まとまりの良いサウンドが印象的。 指揮者の安野さんも、各パートの響きの対比・かけあいなど、教科書的というとあまり良いイメージではないと思うけど、曲の面白さをしっかりと聴かせるような運びとしていたようです。 メリハリつけてしっかりと盛り上がった宴のあと、端正な木管の響きで纏めた着地。 聴き手としてもオケとしても良いウォーミングアップとなっていたのではなかったでしょうか。

真っ赤なドレスで吉田南さん登場。 プレトークでは南ちゃんと呼んだ方が良い感じだった幼さはどこへやら・・・踏込みの強さとテクニックの際立った演奏は全くの別人のようでした。 第1楽章の冒頭、艶やかで柔らかな響きでしっとりと歌ったのですが、次第に熱くなって、艶やかな響きはそのままにバリバリと弾き込んでゆきます。 オーケストラは安野さんが終始暖かく見守りながら音量も控えめで付き添っていた感じでしたが、オケだけの部分となって音量上げて畳み掛けたあとのカデンツァ、華麗なテクニックの冴えでこちらもまた畳み掛けて、大熱演となってこの楽章を終了。 第2楽章の繊細さを前面にじっくりと曲と対峙して綿々と歌い込んで、アタッカで終楽章へ。 ここではオケとソロとの会話も弾んで、オケの音量もあがって奥行きが出てきました。 踏込みの強さに際立つテクニック、吉田さんのスケールの大きさも見えてきて、スピードあげて華々しく終了。 溢れんばかりの若い才能に圧倒された幕切れでした。 会場からも大きな拍手が湧きあがりました。

15分間の休憩のあとメインのチャイコフスキーの交響曲第4番。 作品番号ではヴァイオリン協奏曲が35番、交響曲第4番が36番と続いているのですね。 また冒頭の「はげ山の一夜」はニ短調で始まってニ長調で終わり、そしてヴァイオリン協奏曲はニ長調なので繋がっていたのですね。 よく考えられたプログラムです。

交響曲第4番、爽快なエネルギーを放出した煌びやかな終楽章、終演後コンマス席の栄島さんのやりきった感のある笑顔が強く印象に残りました。 8型のコンパクトな編成なオケより纏まりの良いサウンド、第1楽章の序奏ファンファーレより見事な開始、このあと弦楽器の粘り気を持ったうねるような旋律、纏まりの良さ、管楽器の受渡しも良かったですね。 ややテンポは遅めだったかしら、見晴しのよい演奏でした。 第2楽章も冒頭のオーボエの響きが端正であったように全体的に安野さんが淡々と進めていたようです。
 第3楽章は弾力あるピチカート、低弦の響きが心地よく、また清涼な響きのオーボエも良かったですね。 そして終楽章が秀逸でした。 ここではメリハリを効かせ、各楽器にスポットライトを当てたような演奏、これが歌い継がれて躍動的でありました。 トランペットのファンファーレの輝きにも艶が感じられましたし、ホルンの斉奏もよく纏まっていて聴き応えありました。 そして徐々に力をましてフィナーレへ。 オケの全体が同じ音色で統一されていて爽快。 そして大熱演で終演。 素晴らしかったです。

アンコールは、ハチャトリアンの「仮面舞踏会」よりワルツ。 安野さんが終始にこやかな笑顔でオケより濃い音楽を放出して楽しそう。 聴き応え十分な音楽のあと、お馴染みのラデツキー行進曲。 拍手の強弱などお客さんも慣れたもの。
みんなで演奏会を楽しんだお開きとなりました。 今回の演奏会、内容の濃い内容でちょっと疲れたけど、ほぼ満席となった会場やまのべホールのお客さんは大満足でした。 皆さんお疲れさまでした。



以下、未稿