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オーケストラ・ソノリテ 第31回定期演奏会

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日時:2016年8月28日(日) 14:00開演(13:00開場)
場所:尼崎市総合文化センター・あましんアルカイックホール

曲目:ドヴォルザーク/序曲「自然の王国で」
   スメタナ/連作交響詩「わが祖国」より第6曲「ブラニーク」
   ベートーヴェン/交響曲第6番「田園」
(アンコール)J.シュトラウス/ピチカート・ポルカ

指揮:白谷 隆


「ソノリテ」とはフランス語で「響き」という意味とのこと。 何よりも響きを大切にしたいとの思いで名付けられたオーケストラらしく、美しい響きに満ちた演奏会を楽しみました。

指揮者の白谷さん、初めて聴く指揮者の方だと思います。 若い指揮者ながら常に縦振りを基本としてしっかりとオーケストラをリード、時に機械仕掛けの人形のようにオーケストラを盛り上げてゆきますが、オーソドックスに徹した音楽造りにも好感が持てました。 アンコール曲はその反動からか、タメを作ったり緩急効かせて遊んでいましたけれど(会場の多くいらしたお子さま向けには面白いとは思いましたけど)・・・


簡単に演奏を振り返ってみたいと思います。

響きの良さでまず聴かせたのがドヴォルザークの序曲「自然の王国で」。 高音弦と木管の綺麗な響きがとても爽やかで印象的でした。 白谷さんも大きなストロークで詩情豊かにオケを歌わせていたのに耳を奪われました。 そしてよく見ていると、木管奏者のアンサンブル、各パートトップ(例えばフルートとオーボエ、クラリネットとファゴット、そしてこの4人)が同じように身体を前後左右に動かしながら演奏してらっしゃる。 久々に見たような気がします。 個人の技量が優れているオケはよくありますけれど、各トップ奏者が協調しあって音楽を奏でているのってなかなかお目にかかれないのですよね。 とても嬉しくなりました。
そしてあと嬉しかったのは、指揮者の白谷さんの腕がゆっくりと降りたあと、客席からおもむろに拍手が湧きあがってきたこと。 豊かな音楽性を示した演奏だっただけに、余韻にも浸れたいい時間を頂けました。

2曲目はスメタナの「わが祖国」より最終曲である「ブラニーク」。 タイトでキレキレっの開始、7本もある低弦がしっかりと揃って芯となっていましたね。 凝縮した響き、緻密かつタイトに曲を進めていますが、弦楽器が刻むリズムに乗った管楽器の響きがよくマッチして聴き応えありました。 ここでも木管楽器アンサンブルの妙技を堪能。
トランペットを始め金管楽器群はどれも角が取れた甘さを持った響きなのですけど、白谷さんのしっかりとしたリズムのもと時に金管楽器が咆哮すると押し出しの強いやや堅めの響きとなっていたのは「我が祖国」終曲らしい盛り上がりでしょうね。 この曲も最後まできちんと纏めた着地。 とてもよく纏まっていた演奏でした。

休憩を挟んでベートーヴェンの田園交響曲。 オケのリーダーがコンマスよりコンミスに交代しましたが、オケの弦楽器編成は前半と同じく 10-9-8-8-7 の通常配置。 最近、他のオケを聴きに行っても、高音弦が薄く中低弦に厚みを持たせた編成が多いような気がしますね。

さて演奏はこれまでに書いた良い所が満載、常に縦振りの白谷さんの指揮のもと、実にオーソドックスな進行で聴き応えのある田園交響曲としていました。 透明感の高い高音弦、第2ヴァイオリンがしっかりと響いて第1ヴァイオンと会話していますし、コントラバスも常に一体となっていて、音量ではなくスピード感やキレを持った響きで曲を支えたり、時に切り込んだりしていて、とても聴き応えありました。 そして毎度書きますけれど、木管楽器アンサンブルの妙技、これ無くしてはこの曲は成立しませんけれど、個々人の技量・音色が見事なうえにこれらが協調しあっているのが本当に素晴らしい。 そして嵐の場面でも引き締まった低弦の底力のある響きをベースに決して勢いに任せず緻密に演じ分けて、明るいクラリネットの音色、張りのあるホルンに導いて、第1ヴァイオリンの透明感の高い柔らかな陽光が注ぎ込む・・・自然な音楽の高まり、素適な世界が広がっていました。 最後は弱音器を付けたホルンの渋い響き、ゆったりとそしてサラリと終えたフィニッシュも良かったですね。 指揮者の解釈や思いもあったと思いますが、オーソドックスに曲に向き合ってオーケストラを美しく響かせる演奏に徹していたように感じました。

アンコールはシュトラウスのピチカート・ポルカ。 こちらは上記の反動からか、タメをたっぷりととって、アクセントをうんと付けた、ある種やり過ぎ感を持ったコテコテの音楽でしたね。 指揮する楽しみ、ってこんな風にオケをドライブすることやねん・・・ってことを大勢来ていた会場のちびっ子に教えているかのような演奏でした。 ご愛嬌ですね。

とにかくオケの響きの美しさをたっぷりと味あわせて頂きました。 ちょっと危なっかしい場面やらもありましたけど、それをも上回る美しさ。 皆さんお疲れさまでした。