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奈良女子大学管弦楽団 2017スプリングコンサート

オーソドックスながらフレッシュでイキの良い演奏戻る


日時:2017年4月30日(日) 13:30開演(12:30開場)
場所:橿原文化会館・大ホール

曲目:ベートーヴェン/「エグモント」序曲
   グリーク/「ペールギュント」第1組曲
    「朝」「オーセの死」「アニトラの踊り」「山の魔王の宮殿にて」
   シューマン/交響曲第1番「春」
(アンコール)チャイコフスキー/「くるみ割り人形」より「トレパーク」

指揮:木下麻由加(客演)


奈良女オケのスプコン、木下麻由加姉さんとの名コンビぶりをこのところ聴かせてくれているが、今回もまたオケの持てる力をうまく引き出し、オーソドックスながらフレッシュでイキの良い演奏を楽しみました。

少々生硬な感じで突き抜けたトランペットのファンファーレ、心地よい音色のフルートが囀って始まったシューマンの「春」が素晴らしい演奏でした。 ヴィオラや第2ヴァイオリンがしっかりと鳴る盛り上がり、若い息吹が見事に表現された上々の滑り出し。 このあと勢いづいても決して浮つかないのは、麻由加姉さんがしっかりと手綱を握っているからですね。 第1楽章の後半ではオケもノッてきたようです。 音楽が伸びやかになって更に良くなりました。 そしてたっぷりとした響きで始まった第2楽章。 ここでも手綱をしっかりと握った麻由加姉さんですが、チェロの旋律をたっぷりと歌わせたり、第3楽章では弦楽アンサンブルのコクのある響きで聴かせるなど、とてもよく考えられた構成感を持って曲を進めていらして、オケもまたそれによく応えていました。 そしてまた終楽章が素晴らしかった。 重厚さと爽やかさを巧くブレンドした重層的な響き、要所でバシッと決めた後の軽やかでチャーミングな響きなどシューマンらしい躍動感にあふれた「春」の世界。 たっぷりと楽しませてもらいました。

これに先立って演奏された「ペールギュント」も好演。 清楚な響きで彩られた「春」は軟らかなヴィオラとそっと寄り添う低弦が素敵。 集中力を高めて重層的な響きで聴かせた「オーセの死」、音量が上ってもまろやかさを失わず終結部での消え入る響きもまた心に沁みました。 「アニトラの踊り」では艶やかで透明感ある響きを基調としながら対旋律を際立たせ、「山の魔王の宮殿」でも音量が上っても刺激的な響き排除した上質で自然な盛り上がり。 耳慣れた名曲ながら、清楚な女子大オケらしいフレッシュな演奏としてうまく聴かせて下さいました。

フレッシュな演奏といえば冒頭の「エグモント」序曲も。 芯のある響きながら、やや几帳面な感じだったけれど、向かって左より高音、右から低音のステレオ効果、中央のティムパニが響きを抑えたトコトコとした打音なのは時代考証かも、などと面白く聴かせてもらいました。 肩慣らしの序曲としては上出来でしょう。

今回もまた木下麻由加姉さんに導かれ、オケの特質がうまく引き出された聴き応えのある演奏会でした。 右手親指の手術を翌日に控えた外泊許可中のひとときを有意義に過ごすことが出来ました(この手術のため感想文が遅れてしまいましたが)。 なおこの演奏会パンフレットを見て団員の減少が少々気になりましたが、さっき Twitter を覗くと今年は15名もの1回生が入団されたようですね。 12月の定演も麻由加姉さんが登場されるようなので期待します。 ありがとうございました。


以下、未稿