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同志社OB祝日管弦楽団 第2回定期演奏会

古典派の流れを汲んだ「宗教改革」が秀逸戻る


日時:2018年9月24日(月・祝) 14:00開演
場所:高槻現代劇場・中ホール

曲目:メンデルスゾーン/交響曲第5番「宗教改革」
   シューマン/交響曲第1番「春」

指揮:鈴木啓哉


1980年代に同志社交響楽団に在籍されたOBを中心に昨年4月に発足したオーケストラ。 毎年学生が入れ替わるオーケストラなのに、こうやってOBの人たちが集まって演奏されるのを聴かせていただくと、同じ釜のメシを食った仲間、皆さん同じような音色や雰囲気を持って演奏されているのに驚きます。

そしてこの良い点がうまく出たのがメンデルスゾーンの「宗教改革」だったでしょう。 鈴木啓哉さんの指揮のもと、じっくりと構えた奥行きを感じさせる演奏でした。 同じ同響OBの流れをくむ紫苑交響楽団で先日聴かせてもらった「スコットランド」は後期ロマン派の響きを持っていましたが、こちらの「宗教改革」は古典派の流れを汲んでいるような感じ。 金管も打楽器も豊かに響くのですが、弦楽アンサンブルと響きを同じにした落ち着いた色合いがとても素敵でした。

第1楽章冒頭よりじっくりと構えた音楽づくり、徐々に楽器が増えても音色が同じなので奥行きがあります。 主部も堂々とした響きの弦アンサンブル。 重心を低くとりながらも鈴木さんの軽快な棒捌きにぴったりついて素晴らしい演奏でしたね。 正直こんな充実した演奏が聴けるとは(全員が揃わないのにチューングを始めようとしたり、積極的な集客活動もされていないようだし、同窓会の延長かな、とちょっとナメてかかってました。 すみません)。
第2楽章は、ちょっと早めのテンポ設定だったかな、明るい響きで華やいだ雰囲気で進みます。 そしてたっぷりとした木管や中音弦、軽快さと力強さのバランスも絶妙でした。 第3楽章、指揮棒を置いて振る鈴木さん、落ち着いたトーンの第1ヴァイオリンを導き、第2ヴァイオリンとヴィオラの抒情的な響きに乗せら弦アンサンブル。 木管もしみじみと歌って、小編成オケならではの纏まりの良い演奏。 指揮棒を持ってアタッカで終楽章に突入。 木管の端正な響きの序奏より盛り上げてゆきますが、やや明るめの響きでの一体感を保って見事。 じっくりと腰の据わったサウンドでのコーダ。 充実した幕切れに大きな拍手を贈りました。
この曲、初めて聴いたサヴァリッシュ/ニュー・フィルハーモニアのCDよりお気に入りなのですが、なかなか演奏会でかからないですね。 素敵な体験をさせていただきました。 ありがとうございました。

20分間の休憩をはさんでシューマンの「春」、この曲は中学時代(もう45年も前かな)にTVで見た、たぶんサヴァリッシュ/NHK交響楽団以来のお気に入り。 演奏会でも何度も耳にしていますが、今日の演奏は気合が入りすぎたのでしょうか、一所懸命がそこらじゅうで出ている感じで少々疲れた演奏に聞こえました。 指揮者の鈴木さんも各パートに指示を出して進めてましたが、前曲のように抑えるとか纏めることはあまりしなかった印象を持ちました(そう聞こえたからかも)。
第1楽章、堂々としたトランペットとホルンのファンファーレより、弦楽アンサンブルも力強く、キレよく進みます。 前曲では響きを深くとっていたティムパニもここでは強打で切り込んできました。 パワフルな音楽として進みます。 ただそれぞれのパートが一所懸命で、前に前に・・・という感じ。 しかも早めのテンポで進むので、終わるころには疲れてしまいました。 第2楽章、鈴木さんが指揮棒を置いて振り始め、たっぷりとした弦のアンサンブル。 低弦の上に中音弦そして高音弦がのって上々の滑り出し。 粘り強い響きの木管も良かったのですが、ここでも各パートがそれぞれ前に前に・・・って感じ。 ミスは無い(と思う)けど、練り込み不足なのかな(お前の修業が不足している、と言われるかもしれませんが)。 指揮棒を持った鈴木さんより、トロンボーンの落ち着いた響きを導きだして第3楽章へ突入。 フレーズを短く切ってタイトな音楽となりました。 弦と管楽器が呼応しながら力を更に増してゆきますと、さらに重厚かつ力強い音楽ですが、弦楽器の編成は 7-8-7-4-3 なのに、管楽器が 12 や 14型のオケの響きのように感じました。 終楽章、ここも打点を明快にして足早に進んでいった印象。 スピードを上げて力強いフィナーレでした。
シューマンって、オーケストレーションが下手なので響きが重なって鈍い響きになる・・・などと書物などに書かれていますけれど、その渋い響きにも魅力を感じている当方としては、直線的で剛直な音楽となってしまっては、ちょっとギブの気分でした。

いつもはこんな風には書かないけれど、前半の「宗教改革」がとても素晴らしい演奏だっただけに正直戸惑いました。 終演後、鈴木さんも難しい曲だったのでアンコールはありません、と言われていましたが、決して下手な演奏ではありませんでした。 鈴木さんによく喰いついていましたし、目立ったミスも1ヵ所だったかな。 同じ釜のメシを食った仲間、皆さん同じような音色や雰囲気をお持ちですが、その良い面がよく出て纏まったのが「宗教改革」、まじめに正直に曲にぶつかったのが「春」だったのではなかったかな、そんな風にも思いました。 とにかく、みなさんお疲れさまでした。


以下、未稿