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オーレ・シュミットのニールセン交響曲第4番「不滅」

不滅とは消すことのできないもの(戻る


デンマークの作曲家カール・ニールセンの交響曲第4番「不滅」は、ながくサー・ジョンのレコードに馴染んでしまったために、なかなか共感を覚える演奏がなかったが、さすがに同国人で作曲家でもあるオーレ・シュミットの演奏はとても素晴らしい演奏だった。 基本的には牧歌的で、素朴といって良いと思うけれど、ロンドン交響楽団特有の粘り気のある演奏ともあいまって、作品に彫りの深さや厚さを感じる。 派手な第1・4楽章だけでなく、第2・3楽章がとくに素晴らしい演奏である。 これはディスクユニオンで \300円で捕獲したunicorn-kanchana盤で、故三浦淳史さんご推薦盤でもある。 なおunicorn-kanchanaからCD化されているはずである。
この曲は、第1楽章冒頭の爆発するような開始部や、第4楽章のティムパニ2組が猛打する場面を構築的にシャープに演奏すればとりあえず格好はつくように思うのだが、なかなかに深みを持った演奏に出会えない。 しかしこの演奏では暖徐部分がとくに素晴らしい。 第1楽章では第2主題の叙情をたたえた部分からフィナーレになだれこんでゆく場面、ロンドン交響楽団らしい粘り気のある盛りあがりかたともあいまってとても聴きごたえがある。 そして切れ目なく続く第2楽章の木管楽器を主体とした牧歌的なアンサンブルの響きの調和や間合いがとても素晴らしく、とにかく聞き惚れてしまう。 そして盤をひっくり返すとこれと対比するかのような第3楽章も、最初は厳しさを持つ音楽が始まるが、それもしだいに低音弦をちょっとひきずるような熱情的な音楽に変化する。 木管のユニゾンから音楽は次第に激しさを増してゆくのだが、ここでも機械的・構築的な感じをさせずに各楽器による描き分けがきちんとされている。 素晴らしい。 作品への共感というのはこのようなことを言うのだろう。 そして怒涛の終楽章になだれ込んでいくが、充分な盛りあがりにも深みがある。 金管楽器は遠くで響いているため安っぽくない。 重量感があってよく締まったティムパニの音に深みを感じさせる弦楽器が呼応してダイナミックに曲を閉じる。
不滅とは、消すことのできないもの、という意味であり、ニールセンは「音楽は生命である。そして、生命のように不滅である」と書いているそうである。 小手先の技巧や効果に走らず、まさにそのような音楽的な共感を感じさせる演奏である。