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カラヤンによるマーラー/交響曲第4番

美しいマーラーの世界(戻る

カラヤンによる美しいマーラーの世界がこのレコードにあります。
以前は、カラヤンのマーラーなんて、とロクに聴きもせずに忌み嫌っていたのですけれど、このところ第4番の演奏を選ぶと真っ先に出てくるのがこのカラヤン盤です。
しなやかで肌触りのよい響きを聴かせるベルリンフィルの巧さもさることながら、シュバルベさんの独奏、エディット・マティスの歌唱にいたるまで徹底されています。 カラヤンの美学でしょうか。 美しい音楽に心地よくなります。

もともとこの第4番の交響曲。 ホーレンシュタイン盤で馴染んだこともあって、耽美的な演奏でないとしっくりとこない体質を持ってしまっているのですが、このカラヤン盤にはオケの巧さも備わっているから鬼に金棒です。 聴き進むうちに、文字通り「美の世界」に打ちのめされるというか、沈んでいってしまうような感覚さえ覚え、あっという間に全曲を聴き通してしまいます。

聴いている時間感覚は短いのですが、全体的に遅めのテンポをとった演奏となっています。
例えば、第1楽章の演奏時間は 17分33秒 と書いてあります。 聴いているとそんなに遅くは感じないのですが、テンポを自在に揺らして(ある批評には軟体動物と書いてありました)、歌い上げてゆくような感じ。 この楽章のエンディングの手前、ここでもぐっと速度を落としから徐々に盛り上げてゆく終結も見事です。

第3楽章もまた 22分47秒で、こちらもまた連綿と歌いあげてゆきます。 いずれの箇所でもそうなのですが、主題を演奏する楽器はもとより、裏で吹いている管楽器、奏でている弦楽器群にも主旨は徹底されています。 fff で高揚する部分であっても、刺激的な響きにすることなく、一音一音の隙間を無くし、響きの密度を高くする感じ。 まさしくこれがカラヤンの美学というところでしょう。

マーラーの音楽を聴いているとき、時に小難しい旋律が絡み合うのを「聴いてやろう」なんて意気込むことありませんか。 どこか音楽と対峙するような気分になって、聴き進むうちに「征服してやろう」なんて思ってみたりすることもあったりするのですけれど、この演奏では自在に伸び縮みする旋律と美しいハーモニーに、ただただ身を任せるのみ。  カラヤンによる独特なマーラー世界、美の世界ですね。

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
エディット・マティス(S)、ミシェル・シュヴァルベ(vn)
録音:1979年1月22〜24日、2月22,24日、ベルリン・フィルハーモニー