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ジュリーニのマーラー交響曲第9番

貴紳ジュリーニによる浄化されたマーラー(戻る

このところのドタバタにかまけていましたけど、遅ればせながらジュリーニへの哀悼を気持ちをこめ、マーラーの交響曲第9番をターンテーブルに乗せました。 名演奏として語られることの多い演奏なので、特に追加することはありません。 あえて言わせてもらうならば、ショルティに鍛えられたシカゴ交響楽団という器を使い、強靭さと透明感を併せ持ち、フレーズの息を長めにとって少しも神経質にならない自然に歌いあげた素晴らしいマーラーですね。 機動力を持ってぐぃぐぃと登り詰めるクライマックスの緊張感。 でもピークに達する手前では絶叫させない気品の高さ。 鷹揚に構えて堂々と進めるレントラーやブルレスケ。 弱音部での琢磨された美しさ、いずれもジュリーニの真骨頂とも言うべきものでしょう。 謹んでご冥福をお祈りいたします。

でも正直に言うと、ジュリーニについては、このマーラーのレコード以外に思い浮かぶものを持っていません。 CD棚を探せばどこかに何かあるかもしれませんが、あまり、というよりも全く聞き込んでいないと言ってもよい感じの指揮者なのです。 巨匠としての注目はしていましたけど、好き、嫌いを論じる以前、先送りしていたといった感じです。 レコード屋さんで手にとっても見送ってしまう、そんな面がありました。 守備範囲である廉価盤のところにもあまり来てくれなかったこともありますけど、指揮者で貴紳と呼ばれていたのはジュリーニくらいでしょう。 がさつな自分には似合わない、そんな風に思っている面もありました。 そしてそうこうしているうちに引退。 そのまま縁遠くなってしまったような感じではないかしら。

さてこのレコード、昨年末だったかしら、御茶ノ水ディスクユニオンで捕獲したものです。 マーラーの9番は好きですし、縁遠いとはいえジュリーニには興味はあって聴いてみたいな、と思ったこともあります。 でも本当の理由は、ジャケット写真かなぁ。 レギュラー盤のLPには手が出せなかった若かりし頃、カッコ良い写真やなぁ、なんて思って眺めていましたものね。 とにかく手にとったこのジャケット、やけに懐かしかったので迷わず持ち帰ることにしました。

このレコードは見開きジャケットになっていて、中には「ジュリーニのマーラー」(渡辺護)、「指揮界の貴紳カルロ・マリア・ジュリーニ」(インゴ・ハルデン、訳/渡辺護)、「楽曲解説」(渡辺護)と4ページに渡る読み物や解説が書かれています。 とても贅沢な造りになっています。 これらを読みながら音楽を聴くのもLPレコードによる音楽の楽しみなのですが、最後に「指揮界の貴紳カルロ・マリア・ジュリーニ」の冒頭部分を引用させていただき、故人を偲んでこの章を終えたいと思います。 合掌

彼は決して「商売」のために使われる指揮者になったことはなかった。 彼はいままであらゆる「商品化しようとするたくらみ」に反抗することのできた人である。