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トゥルコヴィッチのファゴット協奏曲集

落着いて柔らかな響き、雄弁でよく歌うファゴット(戻る

ウィーン交響楽団の首席を務めウィーン・フィルでもソロ・ファゴット奏者としても活躍したファゴット奏者ミラン・トゥルコヴィッチが1972年に録音したレコードです。 モーツァルト、コゼルー(ドイツ名コツェルッフ)、ウェーバーのファゴット協奏曲がハンス=マルティン・シュナイト指揮バンベルグ交響楽団のバックで収められています。 レコードの解説には書かれていませんが、モーツァルトの時代のウィーンの楽器を使っているものと思われます。 落着いて柔らかな響きが特徴的ですが、じつに雄弁な楽器であることにも驚かされます。 オーケストラの中では低い音を担当して縁の下の力持ち的な扱いなんですが、こうした協奏曲を聴いてみるとこの楽器の有能さがよくわかるような気もしてきます。 とにかく聴いていて楽しいレコードです。

グラモフォンの1500円盤の廉価盤シリーズのレゾナンスの1枚なんですが、このレコードは頂き物です。 僕がホームページを開設する前、関西を中心にしたクラシック音楽のメーリング・リストに参加していました。 その主催者の方より頂いた数十枚のレコードの中の1枚です。 この方は音楽の先生をされていましたので、吹奏楽メンバーの教材(鑑賞用)として使われていたのかもしれません。 このレコードを聴いて一生懸命ファゴットを練習していた人もいたでしょうね。 ぼくは楽器はまるで出来ませんから聴くことで楽しませてもらっています。

さて、その練習曲(?)だったかもしれない第1曲目は一番有名なモーツァルトのファゴット協奏曲。 ここで聴くトゥルコヴィッチの軽やかで伸びやかなソロ。 それがまた実によく歌うこと。 ファゴットっていう楽器は低音でプカプカ鳴っているというイメージはここであっさりと覆されてしまいますね。 速いスタッカートが本当に心地良く響いてきます。 逆に第2楽章はしっとりと歌っていて本当に雄弁な楽器ですね。 カデンツァはヘルマン・ドゥシャンという人のものが使われていますが、ここでもファゴットは朴訥とした音色の楽器・・・なんていうのは当らなくて、じつに奥深い楽器であることを示しているようです。
2曲目はハイドンと同じ時代のハンガリー人の作曲家コゼルーの協奏曲。 マンハイム学派の影響がみられると解説にも書いてありますが、急・緩・急のごく一般的な作品形式。 快活でチャーミングに演奏しています。 終楽章などはハイドンの曲を聴いているような感じもします。
3曲目のウェーバーの作品ですが、これがまるでオペラの序曲のような感じですね。 ソロ歌手のメロディ部分をファゴットで歌っているようのでは・・・なんていう気分になってきます。 さすがウェーバーの作品だと思いましたね。 奏者が素晴らしいから面白く聴けるのかもしれませんけど、手元のレコード本でウェーバーの巻を調べてみたらファゴット協奏曲はまったく無視されてました。 単調といえばそうなんですが、ファゴットの多彩な響きが楽しめる面白い曲のように思いました。
とにかくこのトゥルコヴィッチのレコード、ファゴットの魅力的な面をまるごと聴かせてくれているようです。