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ピエール・デルヴォーのイタリア交響曲

フランスの人のセンスとドイツ人の気骨が見事に融合(戻る

ピエール・デルヴォーというと真っ先にフランス管弦楽曲集を思い浮かべる方は、僕と同年代で、しかも廉価盤レコードの洗礼を受けた方ではないでしょうか。 そのデルヴォーがドイツのオケを振り、メンデルスゾーンを録音したレコードが200円で叩き売られたので連れ帰ってきました。 日本コロムビアのダイヤモンド1000シリーズの1枚です。 どんな演奏をしてくれるのか、興味津々、さっそく聴いてみたんですけれど、いやぁ〜まいりました。 予想したとおり、肩の力の抜けたの肌触り良い軽やかな音楽なんですが、ハンブルグのオケの骨太なところが随所に見え隠れし、聴き応えのある音楽に仕上がっていました。 ミス・マッチどころか、両者の良い面が見事にコラボレートされた上質な音楽に聞き惚れてしまいました。 正直ちょっと今これにハマっています。

ハンブルグ国立フィルハーモニー管弦楽団って、ハンブルグ国立歌劇場管弦楽団のメンバーによって構成されているそうですね。 ウィーン国立歌劇場管弦楽団とウィーンフィルの関係と同じらしいです。 
で、このオーケストラの演奏というと、カイルベルトが指揮したブラームスの交響曲第4番とかベートーヴェンの交響曲などの録音に代表されるように、無骨なオケ、そんな印象を持っていましたが、デルヴォーのもと、とても柔らかい響きを奏でています。 強奏の部分になっても、力が充満するちょっと手前ですっと力を抜くように感じられるところは彼の本領発揮といったところでしょう。 管楽器の響きも全体的に明るくてチャーミングになっています。

しかし、構成感をはっきりと持ち、重心の低い音楽はドイツ音楽そのものです。 何よりもコントラバスの響きが太く、ぐっとせり出して聞こえてきます。 しかしこの響き、ゴリゴリと押してくるような感じではなくて、角のとれた響きで心地良いんですよ。 響きが拡散してぼわぁ〜んとしているのではありません。 ぎゅっと締まった響きで、はっきりと旋律を聴かせるんですがまろやかなんです。 全曲を通じ、この響きが曲を支えてます。 終楽章なんかけっこう鳴らしていますね。 でも潔い響きで重く感じないんです。
あとホルンの響きいつもみたいに質実剛健、パワーで押すって感じではなくて、第3楽章のソロもとても柔らかくて素適です。 でもね、やっぱりどこか朴訥さんの感じられる響きになってしまところが感じられます。 第1楽章のフィナーレの部分なんかそうじゃないかな。 隠しきれないみたい。

この曲、カンテルリの演奏に代表されるように、イタリアの陽光や空の青さをイメージさせる颯爽とした演奏もいいし、マズアの演奏のように純ドイツ的でベートーヴェンの次ぎの世代としての音楽表現もあると思います。 しかし、このデルヴォーの演奏はそれらとはまた違った一面を感じさせてくれる演奏ですね。 フランスの人のセンスとドイツ人の気骨がうまく合わさっているからでしょうか。 とにかくこの演奏は掘り出し物でした。