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イ・ムジチのブランデンブルグ協奏曲

バロック音楽の愉しさ(戻る

イ・ムジチ名演シリーズ第3弾として出された2枚組 3,600円のレコードです。 御茶ノ水ディスク・ユニオンで150円で捕獲しました。 1965年7月に第1〜3番、同9月に残りの第4〜6番をスイスのヴェヴェイで録音したと書いてあります。 ここでヴィヴァルディの一連の協奏曲を録音したのだとも書いてありました。 そしてその演奏内容もまたヴィヴァルディのと同じようにバロック音楽の愉しさをぞんぶんに味あわせてくれる素晴らしい演奏でした。

この演奏の最大の特長は何といっても愉しさなのですが、これはソリストの巧さによるところが大きいように思います。 まずソロ・ヴァイオリンはアーヨですし、オーボエはハインツ・ホリガー、モーリス・ブルグ、フルートはガッツェローニ、マクサンス・ラリュー、ホルンはエリック・ペンツェル、リコーダーはブリュッヘン、トランペットはアンドレとそうそうたるメンバーが揃っています。 第2番のアンドレのトランペットはちょっとこじんまりとした感じなのですが、第4番のリコーダーは、ブッリュヘンと弟子のジャネット・ファン・ウィンゲンデンの二人の演奏がとても素晴らしいですね。 音楽全体が息づいていて、思わず足踏みをしてしまいたくなるようなノリの良さがあります。 また哀切を感じさせる端正な第2楽章との対比も素晴らしいものです。 1965年の録音なので、古楽器演奏が主流になるずっと以前の録音なんですが、このとおりリコーダーを使っていますし、アーヨもまた第1番ではヴィオリーノ・ピッコロを使って演奏しています。 いわゆる古楽器との折衷型の演奏なんでしょうが、とにかく第1番から第6番まで理屈抜きで音楽そのものを愉しめます。

ところで、このところブランデンブルグ協奏曲全曲のレコードをよく捕獲しています。 ここ数ヶ月でも、ブリテン指揮イギリス室内管、ヴィンシャーマン指揮のドイツ・バッハ・ゾリステン、パウムガルトナー指揮ルツェルン音楽祭合奏団(オイロディスク)、ミュンヒンガー指揮シュトゥトガルト室内管、もうちょっと前になるとマリナー指揮アカデミー室内管なども買いました。 別に目的を持っているのではなく、ただ安く出回っていたから、といのが理由なのですけれど、これらの中でもイ・ムジチの演奏はダントツですね。 そりゃぁヴィンシャーマンの楷書風の演奏も素晴らしいのですけれど、愉しさという面では飛びぬけています。 それも表面的な楽しさではなくって、心の底にある闇をもはらってくれるような愉しさにあふれていました。 これには吃驚しました。

正直、買う時にはちょっと躊躇していました。 ヴィヴァルディの四季のようにちょっと油ぎった面もあって、陽光あふれるバッハが全開なのかな〜 って思っていたのですけれど、バッハの端正さをきちんと持ちあわせています。 かつバロック音楽の愉しさをぞんぶんに伝えてくれます。 小難しいことは抜きで、2枚のレコードのどの面、どの楽章から聴いても愉しめるレコードです。 バッハをぐんと身近に感じさせてくれるイ・ムジチの演奏は本当に素晴らしいと思います。