中古LPを買うときにはジャケットで選ぶことは以前にも書いたとおり。
このレコードも今はなきハンターの100円の餌箱にキズ有のシールまで貼られて放り込まれていたもの。
フォンタナ・レーベルが日本ビクターから出ていた頃のものだから、いつのものでしょうか。
定価が1,800円だから1960年初めころでしょうか。
とにかく洋盤風のジャケット写真の色合いがいかしていますね。
そしてこのレコードの演奏はパウル・ワルター指揮によるウィーン交響楽団で、現在でもフィリップスの1,000円盤CDで古き良きウィーン情緒をたっぷり染み込ませたウィンナ・ワルツを聴かせてくれるコンビです。
ジャケットの良さもあってキズ有のシールなど気にせず購入しました。
なおサブ・タイトルには「ステレオによる」と書いてますが、刺激的なスレテオ効果があるでなし、初期ステレオ特有の3トラック録音による左右2チャンネルの分離の良さがある程度です。
しかし、かえってこれによってヴィオラなどの目立ち難い弦楽器が充分に歌っているのがよく聴き取れてぐっときます。
危惧していたレコードのキズも目立ったものはなく、スクラッチノイズが多少ある程度。
充分に鑑賞に耐えられるものでした(ハンターのキズ有はこおいうのが多かったなぁ)。
さてお誘いの曲目は以下の表のとおりで、A面のおだやかな「マドンナの宝石(聖母の宝石)」や「カヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲」もしみじみとしていてとてもいい感じなのですが、なんたってB面がとても素晴らしい。
「ドナウ河のさざなみ」「スケーターズワルツ」(このレコードでは「スケートをする人々」)「金と銀」なんてもう実に手馴れたところで一気に聴かせてしまいます。
すきっと洗練されない響きですけれど、これがかえって朴訥とした味わいになって、雰囲気が充分で、何度でも味わいたくなるような演奏ですね。
いわゆるクラシック音楽入門用のレコードですけど、B面のこの3曲は本当に素晴らしい演奏だと思います。
パウル・ワルターって「指揮者のすべて」(音楽之友社)では無視されている存在ですが、このような音楽を振らせるととても素敵な指揮者だということが伝わってきます。