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ネヴィル・マリナーの「四季」

コブシの回る躍動感あふれる四季(戻る


やはり数寄屋橋のハンターで300円で捕獲したレコード。 ダブル・ジャケットじゃないものもあったが、迷わずダブルジャケットの古いのを捕獲。 この読みは見事に当たって解説が豪華。 吉田秀和「アカデミーの<四季>をめぐって」、浅妻文樹「バロック音楽の装飾演奏について −このレコードを楽しく鑑賞するために−」(譜例付き)、海老沢敏「楽曲解説」、村田武雄「マリナーとアカデミー室内管弦楽団について」に加えて、小倉茂男訳「作曲者の手になるといわれるソネット(十四行詩)の全文」である。 非常に読み応えがある。 これを読みながらの音楽鑑賞がLPの楽しみでもある。
さて、音楽は春の第1楽章から度肝を抜かれた。 解説に装飾演奏について述べられているとおり、フレーズの終わり毎にコブシがまわっている。 おもしろい。 各楽章にコブシは回ってがいないが、それぞれに新しい響きを楽しませてくれる演奏である。 しかもこれらが単なるゲテモノ趣味に走らず、いずれもチャーミングなのである。 ほくそえむ、そんな感じ。 ことに冬の第1楽章の冒頭のチェロの響きが寒さをしんしんと感じさせるし、第2楽章はチェンバロではなくパイプオルガンを使うことで暖炉の暖かさを出しているよう。 楽譜には Organo o Cemble 書かれているとのことで、はたしてこれらがヴィヴァルディ時代の響きであるのかどうかはともかくとして、聴いていてとにかく楽しいし面白い。 そして何より全編躍動感に溢れる演奏であるのが素晴らしい。 これがバロック音楽の真髄でしょう。