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コンドラシンのショスタコーヴィッチ交響曲第5番

豪放で神経質、大胆で繊細、そして怖い(戻る


キリル・コンドラシンはオランダに亡命したが2年もしないうちに心臓発作により旅立ってしまったためか、現在では忘れ去られようとしている指揮者かもしれない。 このモスクワフィルとのショスタコーヴィッチの交響曲は、旧ソ連時代に録音され、10年をかけて全集となって、彼の存在を西側に知らしめた録音でもある。 このレコードは日本ビクターからレギュラー盤として出ていたもので 100円で捕獲した。
演奏は、第1楽章が速いテンポで始まり、色々な楽器が不安を含みながら突進してくるのに驚かされる。 一聴すると豪放磊落な感じでオケをさまざまに鳴らしているのだが、決して開放はされていない。 オケの手綱はしっかりと握られている。 そのため、楽器は派手に鳴っていても怖さが付きまとっている。 それもロシアのオケらしく野太い低弦や、豪快に鳴り響く金管楽器なのだから、この怖さもまたひとしおである。 全曲を通じてこの調子であるが、特に前半の2つの楽章が聴き応えがあった。 とにかく豪放でかつ神経質、大胆で繊細な演奏で、なによりこれを実現しているオケが巧い。 さて、第4楽章は速めのテンポでダイナミックに一直線に進んでゆく。 そしてうごめくような中間部を経てクライマックスにかけてはゆっくりと進む。 じわじわと、じっくりと進まされているような感じである。 ヴァイオリンが不吉な響きを繰り返しているもまた印象的である。 シンバルの響きもティムパニの打撃にも勝利を感じさせない。 どこまでも開放されない怖さが潜んでいる。