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ライナーの「V字」「ジュピター」

機能的だが暖かく美しい(戻る


このレコードは、世界文化社が1970年にRCAのレコードを用いて出版した「世界の名曲」シリーズの1枚である。 「SYMPHONY 1」 として、ライナー/シカゴによるハイドン(V字)・モーツァルト(ジュピター)が紹介されている。 梅田の中古屋で500円ほどで拾ってきた。 子供の頃にこのような全集物が自宅にはなかったため(家人の誰もがクラシックなんて聴かなかったので)、今ころになって気になって拾ってきたりしている。 まぁ永遠の初心者としては、このような全集もののカラー図版を眺めたり、読み物を味わいながら音楽を聴くのがまた楽しみである。 ちょっとリッチな気分になったりもするのは子供のころからのコンプレックスからきているような気がするな(苦笑)。 もっとも最近では、この類のレコードは場所を取るためちょっと敬遠気味ある。
さて、前置きが長くなったが、ライナー/シカゴ響というと、バルトークやR.シュトラウスでの演奏において、オケの機能性を駆使した鋭い演奏がまず頭に浮かぶ。 そしてここに収められた古典派のハイドンとモーツァルトの交響曲もまたそのようなオケの機能性を十分に生かした鋭い演奏なのだが、美しい演奏でもある。 そして機能的な演奏であっても暖かさも感じさせるのがライナーの特徴的であろう。 素人考えでは、オケの機能性を優先させると、前衛的で冷たい音楽になると思うのだが、この演奏では、きちんと細部を描き分け、不純物をすっかり取り去ったあとの澄んだ響きのなかにハイドンやモーツァルトの暖かさを感じさせる。 同じアメリカで活躍したセル/クリーヴランドのモーツァルトもまた研ぎすまされた澄んだ美しさが出ているのだが、この暖かさが決定的に違う面であろう。 そしてこれはまったく個人的な嗜好なのだが、セルよりもライナーの演奏によりモーツァルトを感じる。 現代的でかつ暖かく素敵なジュピター交響曲である。 またハイドンの演奏は、とても快活で心地よい響きに満たされている。 くりかえずが、決して冷徹ではなく音楽が息づいている。 こんな風に演奏するとハイドンもまったく退屈しない。 ともに素敵な演奏である。