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ハンス=マルティン・リンデによる
ヘンデル/ブロックフレーテ・ソナタ全集

のびやかな旋律が心地よい(戻る

いわゆる縦笛、中学校の頃の音楽の時間のリコーダには良い思い出はありませんが、もし当時この音楽を聴いていたら、好きになっていたかもしれません。 ハンス=マルティン・リンデによる肌触りの良い音色が心地よく響いてきます。 リコーダ演奏ならば、当時よりフランス・ブリュッヘンが斬新ともいえる積極的な演奏で注目を浴びていましたけれど、古いスタイルかもしれませんが、同じ古楽器でも落ち着いた演奏を聴かせるハンス=マルティン・リンデにより惹かれるものを感じます。

ハンス=マルティン・リンデ、1930年ドイツ生まれ。 フライブルク音楽大学でグスターフ・シェックに学んで頭角を現したのち、古楽器の名手を集めたバーゼル音楽のブロックフレーテとフルートの教授を務めた大家。 独奏だけでなくバリトンでの歌唱やリンデ・コンソートを組織した指揮活動も盛んに行っていた時期もありますが、最近はとんと名前を聞きませんね。 
日本語ではなかなかヒットしないので、hans martin linde で検索かけてみましたが、具体的な活動は見えてきませんが(もっと英語ができたらと思う瞬間ですね)まだご存命のようですね。

さてこのレコードには、ヘンデルの作品1番の表題のついたソナタ集より、ブロックフレーテのための4曲全てが収録されています。 作品1番といっても、ヘンデルの最初の作品ではなく、最初に出版されたも。 これらの作品が作曲された当時のヘンデルは、既にオペラやオラトリオ、カンタータなどでイタリアやイギリスでも人気を博していたようです。 ようやく音楽が一般(といっても上流市民階級)の家庭にも広がってきた頃で、楽譜を出版して売れる時代になってきたことから、ヘンデルの名声もあって、売れる音楽として纏められたもののようです。 なお作品1番には、ブロックフレーテ以外にヴァイオリン用のソナタが6曲、フルート用が3曲、オーボエ用が2曲というグループに分かれているとのこと。

ここに収録された4曲とものびやかな旋律がとても心地よい演奏です。 リンデにぴったりの曲たちかもしれません。 そしていずれも第1楽章がラルゲットで始まり、終楽章(第7番のみ5楽章で、他はすべて4楽章構成)がアレグロまたはプレストで終わります。 バロック・ソナタの特徴でしょうか。 抒情的な美しい旋律で始まって、リズミックでユーモラスな旋律を歌わせて曲を閉じる。 しかもこれらがレコードなので、A面2曲(第2番、第7番)、B面2曲(第4番、第11番)と、ほどよい時間配分です。 ちょっと聴いていて落ち着く、けっしてBGMとしてではなく、聴く、のにちょうどよい時間なんですね。 このところのお気に入りのレコードです。

ブロックフレーテ:ハンス=マルティン・リンデ
ヴィオラ・ダ・ガンバ:アウグスト・ヴェンツィンガー
チェンバロ:グスタフ・レオンハルト

録音:1962年