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オーマンディ/フィラデルフィア管による「北欧の旅」

流麗ながら慎み深い演奏(戻る

オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団による「北欧の旅」。 日本コロムビアの25cm(10インチ)盤のLPレコードです。 グリーグの「ペール・ギュント」組曲第1番、シベリウスの「悲しきワルツ」、アルヴェンの「スェーデン狂詩曲」、そしてシベリウスの「フィンランディア」の4曲が収録されていて、上質のオケによる演奏が安心して楽しめます。 もちろん「フィンランディア」は合唱付きで、モルモン会堂聖歌隊が歌ってます。 キリっと締まった演奏と合唱は、さすがシベリウスを得意としたオーマンディらしく聴き応えありますね。

小学生の頃だったでしょうか、CBSコロムビアと言っていたのがCBSソニーになった記憶があります。 このレコードは、1961年7月に発売されたもののようですね。 DIAMOND SERIES で 1,200円となってます。 CBSソニー時代では、繰返し使ったマスターテープが磨り減ってしまい音が悪い、なんていう話も耳にしましたが、この古い日本コロムビアのレコード盤ですが、そんな古さをまったく感じさせないたっぷりとした音質で、深い響きながらも腰のあるフィラデルフィア・サウンドを楽しむことができます。

フィラデルフィア・サウンド、クラシック音楽を聴き始めた頃、この呼び方がまるでポップミュージックのようなので抵抗感がありました(ソニーによる大衆化の戦略もあったのでしょうか)。 原理原点主義者として振舞いたい血気盛んな初心者でしたので、クラシック音楽の本場は欧州、アメリカは2流なんていう思いもありました。 だから当時はほとんど無視してましたが、恥ずかしい勘違いですね。

最近になってオーマンディを聴き進めているのですが、とにかくたっぷりとオーケストラを鳴らすのが巧いですね。 ここに収録された演奏もいずれも素晴らしいのですけれど、特に驚いたのが「悲しきワルツ」。 ゆったりとしたテンポで、左右から色々な楽器が浮かび上がるように聞こえてきますが、それらがオーケストラ全体の響きとなって響き合って歌い込まれてゆく、とても真摯な音楽ですね。 ムード音楽のように扱われがちな曲ですけれど、ビシっと1本芯を通している感じがします。 もちろん「ペール・ギュント」や「スウェーデン狂詩曲」も、たっぷりとした表現でオケを自在に操っていて、深い世界を感じさせる演奏です。

いずれにしてもオーケストラの響きは流麗ですけれど軽くなどなく、逆に慎み深さを感じさせるサウンドが心地よく感じられます。 そして楽曲への深い愛情が感じられる演奏に仕上げています。 たっぷりと「北欧の旅」を楽しみました。